石井こたつちゃんは、子猫の時に、千葉県の漁師町にある家の前に置かれていた。ひどい猫風邪をひいたため大切に育てられたが、あまりにも手をかけて育てられたので、いつしかやきもち焼きのお嬢様気質の猫になった。
実家の前に置かれていた子猫
千葉県に住む石井さんの実家では5匹の猫を飼っていて、猫好きとして知られていた。2004年、石井さんのお母さんは、小学生の女の子たちが子猫を抱っこしているのを見て、嫌な予感がした。うちに置いていかれるのではないかと思ったのだ。予感は的中、家の前に1匹の子猫がいた。生後2カ月くらい。お母さんは、子猫を6匹目の猫として迎えた。子猫は「こたつちゃん」と名付けられた。
5匹の先住猫は穏やかな子ばかりで、こたつちゃんを受け入れてくれた。こたつちゃんも仲良くできた。母猫の抗体が切れる頃、こたつちゃんは猫風邪をひいて2カ月ほど入院したので、退院後もしょっちゅう涙を拭いて、手をかけて育てたという。
猫中心の生活のはじまり
2006年9月、石井さんは、いまのご主人と同棲をする時に、こたつちゃんを含む実家にいた猫を3匹引き取った。
ご主人は、もともとは犬好きで、猫と暮らしたことがなかったが、はじめて実家でこたつちゃんに会った時、こたつちゃんがご主人の膝の上で寝たので、以来、猫にめろめろになったのだという。
ただ、どのように猫と暮らしていくのか話し合ったことはなかった。ある日、ご主人のノートパソコンの上に猫が乗って、パソコンが床に落ちたことがあった。ご主人は、思わず猫に「こら!」と言ったが、石井さんは、「そこに置いたあなたが悪い、そんなに大事なものならしまっておけばいい」と言った。ケンカになってもおかしくない状況だったが、ご主人は「確かにそうかも」と言い、猫たちに謝った。その出来事をきっかけに、石井さんは、「これからは、この人と猫と暮らしていくんだ」と思いを新たにした。パソコンは、落ちないように片付けられ、石井さん夫妻は猫中心の生活を送っている。
ツンとデレの使い分けがうまくいかない
小さい頃から大事に、大事に育てられたこたつちゃんは、とてもやきもち焼きの猫になった。
「他の猫をかまっていて、あれ、いないと思ったら、隣の部屋の隅からじっと見ているんです。名前を呼んでも知らんふりをして、『こたつ、おいで』と呼んでも、知らんふりをしています。まるで、声をかけられたらすぐに振り向くような女じゃないわとでも言いたげに」
ただ、こたつちゃんがツンツンしている間に、他の猫が石井さんのところに来てしまい、結局思うように甘えられない。
今年で16歳になるこたつちゃん。「一番年上だし、他の子より手をかけてしまうので、より一層わがままになっています」