改装された銀座線渋谷駅の天井が鯨の背骨に?地下鉄でなく空鉄?新たな観光スポットになるか

北村 泰介 北村 泰介

 大幅に改装された東京メトロ銀座線渋谷駅がSNSで話題になっている。新たに移動して幅広くなったホームの頭上で波打つオブジェが「巨大な背骨」に例えられ、鯨など巨大生物の体内にいる感覚になるというのだ。一方で他路線との乗り継ぎの動線が重なって混雑するようになったことも指摘されているが、まずは、新駅舎で誕生した「骨天井」に注目し、運営する東京地下鉄株式会社の担当者に話を聞いた。

 昨年12月27日夜から1週間の工事を経て新ホームが完成した。JRの線路より高い位置にあるため、新ホームのサイドを覆うガラス板から山手線を走る電車や駅周辺の街並みが見下ろせる。「地下鉄」ではなく「空鉄(?)」に近い感覚だ。外気を仕切るガラス板が途切れる辺から冷たい外気も流れてくる。

 ホームの幅は旧駅舎の2倍となる約12メートルに拡張。これまで頻繁に利用していた者として、広々としてゆったりした気持ちになった。従来の乗車と降車用に分かれた相対式から、両脇に線路がある形式となり、6車両の地下鉄が発着するホームの全長は約100メートル。天井には「骨」に見えると話題の波打つオブジェが連なり、数えると40本以上あった。

 始発から新駅舎での運行が始まった1月3日、ツイッターでは、この意匠について「背骨を連想させます」といった投稿が相次いだ。その形容として「崩れた巨神兵の内側にいるような感じ」「昔読んだ絵本のピノキオで、鯨にのまれたときが、こんな風景だったかな?」「恐竜展の骨の下に居る感」といった指摘も続いた。

「近未来」を感じさせる新駅舎のコンセプトとは?

 東京地下鉄株式会社広報部は当サイトの取材に対し、「デザインコンセプトは『フューチャーシティ』。明治通りと(渋谷駅)東口広場に対して駅舎のボリュームを感じさせない全体のフォルムとし、新しい街を体現する空間としています。変化し続ける渋谷の近未来的な要素を取り入れつつ、地上から見上げた時に駅舎の圧迫感を感じさせない外観としています。デザインが特徴的で長スパンを実現するM型屋根は、遠くからも視認でき、ランドマークとしてのまちの分かりやすさ、回遊性の向上も期待しております」と解説した。

 また、内観について、同社は「屋根をアーチ構造にすることで、柱のない広々としたホーム空間を実現しています。駅舎内の仕上げは白で統一し、明るい空間を演出しています」と付け加えた。

 「骨」に見えるという声について、同社の担当者は「多くのお客様に様々な見え方がなされていることは把握しております。渋谷という街のシンボルとして、生まれ変わった新しい駅舎をお楽しみいただけたらと思います」と受け止めた。今夏の東京五輪・パラリンピック開催を前に、同社は「これからも銀座線渋谷駅をご利用いただく多くのお客様や街の方々に、愛される駅となることを期待しております」とコメントした。

 渋谷駅ハチ公口のスクランブル交差点が外国人観光客にとって東京観光の名物スポットになって久しい。新装なった銀座線渋谷駅のホームでは、本格的なカメラ機材で撮影する欧米系外国人の「撮り鉄さん」も見かけた。スクランブル交差点に続く、「お金のかからない」街の特徴的な風景として新たな観光スポットになるか。

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