鴨川沿いを疾走する電車、長さ東洋一の幻のケーブルカー… 戦前の京都の鉄道写真ずらり

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 清水寺を遠景に鴨川沿いを走る電車や、戦時中に撤去され廃線となったケーブルカー。京都市とその郊外で戦前に撮られた電車の写真を集めた展示が、京都府宇治市の宇治市歴史資料館で開かれている。鉄道ファン垂ぜんの幻の車両と出合えること請け合いだ。

 開かれているのは「宇治の電車・京都の電車―『観光』の時代」。戦前の絵はがきを中心に約500点が並ぶ。

 京都市中心部の鴨川に架かる四条大橋をとらえた写真には、橋上を東行きの京都市電、橋の東詰を1両編成の京阪電車がそれぞれ走っている。その南に架かる五条大橋を撮影した写真には、木製の橋の欄干とともに川沿いに設置された京阪五条(現清水五条)駅に止まる電車が映っている。

 京都市北西にある愛宕山に1929(昭和4)年に開通したものの、戦時中に休止し、廃止となった愛宕山鉄道のケーブルカーの写真も展示。当時、長さ東洋一と言われた線路を進む車両や麓にあった清滝川駅をとらえた一枚もある。

 また、建設計画がありながら実現しなかった鞍馬電鉄の支線を描いた鳥瞰図「鞍馬電鉄沿線名所図会」など貴重な地図も並ぶ。

 企画を担当した同館の小嶋正亮さん(59)は「展示物は絵はがきや地図など当時の人々が実際に見て、触れた物ばかり。ぜひ間近で見て100年ほど前の時代を知ってもらいたい」と話す。

 12月1日まで。月曜・祝日休館。入館料300円、中学生以下無料。

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