あえて芸術祭と言わない『岡山芸術交流2019』…ひと味違う見どころとは?

沢田 眉香子 沢田 眉香子

 「アースミュージック&エコロジー」や「コエ」などのブランドを展開するアパレル企業「ストライプインターナショナル」の代表取締役・石川康晴さんが、文化振興財団を立ち上げ、出身地である岡山県・岡山市とともに開催する『岡山芸術交流2019』。

 日本各地の地域で芸術祭が開催されているが、「どこ行っても、同じ感じ」という感想も聞く。芸術祭のプログラムが、良くも悪くも公共性(地域住民とのふれあいとか)、エンタメ性(癒し系や、有名アーティスト作品とか)の、ほどよいミックスに落ち着いてしまうからだろう。アートに、社会や人の毒で薬になる刺激的な表現を求めている人にとって、「芸術祭」は物足りない。

 瀬戸内国際芸術祭と同様に3年ごとに開催される「岡山芸術交流2019」(今年で2回目の開催)に「岡山でも芸術祭をやっているのか」と思う人も多いはず。けれども、タイトルが「芸術祭」でないことにちょっと注目して欲しい。「祭」とは一線を画すプログラムと見応えが、ここにはある。

 『岡山芸術交流2019』の開催地は、市街中心地の「旧内山下小学校」「岡山市立オリエント美術館」「岡山城廊下門」「不明門」。そして近代建築家・前川國男の建築作品である「林原美術館」「岡山県天神山文化プラザ」など。アーティスティックディレクターのピエール・ユイグほか、出品作家は、主に欧米で活躍するアーティスト18組。難解な作品もあり、正直、後味さっぱりしない作品もあるのだが、実のところ最大の見どころは、芸術祭にありがちな忖度を排した、キュレーションそのものだ。岡山市街中心部に設置される作品は、路面電車や徒歩で巡り、鑑賞ことができるが、じっくり堪能するには1日では無理かもしれない。街めぐりを楽しみながら、おすすめの作品を紹介する。

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