あえて芸術祭と言わない『岡山芸術交流2019』…ひと味違う見どころとは?

沢田 眉香子 沢田 眉香子

 旭川の河畔にある、メリッサ・ダビン&アーロンダヴィッドソンの作品。パイプに循環する液体(旭川の水)を見ていると、浄化されるような気分です。

 旧小学校のプールにピンクの液体がぶくぶく隆起するパメラ・ローゼンクランツの『皮膜のプール(オロモム)』。背後の建物には、無重力に浮かぶカエルの映像が。晴天下の平和な光景を歪ませる、ショッキングな作品。

 パメラ・ローゼンクランツ『癒すもの(水域)』を見学する小学生グループ。黒い土俵の上の蛇のロボットに「ヘビさん動いてー。あ、外国の作品やし日本語、通じんか。ハロー!」「ハロー!ハロー!」と大合唱のシュールな一幕。

 マシュー・バーニー『安全圏の陰極』は、水槽のなかで銅板を電気メッキ加工中。水槽の中にイソギンチャクが棲息するピエール・ユイグの作品。マシュー・バーニー&ピエール・ユイグのコラボレーションが誕生するかも? 理科室のような空間だが、ここは旧小学校の元書道室。

 旧小学校の教室での照明を落としての展示は、ノスタルジックな雰囲気に呑まれ、集中力が高くなる。ファビアン・ジロー&ラファエル・シボーニのインスタレーション。

 「岡山県天神山文化プラザ」でのミカ・タジマの『ニュー・ヒューマンズ』。漆黒の磁性液体が磁力で浮かび上がる不思議さが、見飽きさせない。

 「岡山市立オリエント美術館」でのポール・チャン『トリオソフィア』。首なしの人体が手をつないで激しくダンス。怖い。オリエント美術館の平常展示の充実ぶりもすごいので、時間をたっぷりかけたい。

 「林原美術館」では、イアン・チェンのAI を導入した育成ゲームのような作品が。ピエール・ユイグの映像作品「2分、時を離れて」に登場するキャラが生身で現れるティノ・セーガルのパフォーマンスもあり。

 関連企画の『A&C(Art&City)』では、街のパブリックスペースでアートと出会うというコンセプトで作品を長期展示。無料で鑑賞できる7作品がある。「岡山神社」のダン・グラハム『木製格子が交差するハーフミラー』。なじみっぷりとクールさに思わず二度見、三度見。

 岡山城。「これは!」と思わずじっくり鑑賞してしまった植栽は、実は作品ではなかった。。。

『岡山芸術交流2019 「IF THE SNAKE もし蛇が」』期間:2019年9月27日(金)〜11月24日(日)

https://www.okayamaartsummit.jp/2019/about/

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