平昌五輪代表が直面したカップル解消、引き際…フィギュアスケーターの現実とは

藤井 七菜 藤井 七菜

 元より音楽やストーリーを体で表現する楽しさを感じていた村元だが、この『氷艶』では改めて氷の上で踊る楽しさを実感した。

 「アンサンブルとして『氷艶』に出られて楽しかったですし、本当にありがたかったです。これがなかったら灰になってたかも(笑)。『氷艶』が終わったときに、そこまで自分の気持ちが戻ってなかったら引退を考えてもいいのかな、と思ったりもしてたんです。でもやっぱり自分は氷の上がいちばん居心地がいいというか、氷の上にいる自分が輝いてるのかなって……。真剣にパートナーを探そうかなと思うようになりました」

 これまでにも国内に加えて海外からもトライアウトのお誘いが何度かあった。だが、「そのときはまだ自分が100%トライアウトしたいっていう気持ちじゃなかったり、条件面が合わなかったりで。いい人がいればっていう思いはあったんですけど、『氷艶』が決まってからはそっちを最優先していました」。

 公演後、本格的に再開したパートナー探しは少しずつだが前向きに進んでいる。

 「『この人と滑りたい!』と思える人を見つけて、来シーズンの試合に出られるのが理想ですけど、無理に決めずに時間をかけて探したいです。自分の中ではオリンピックとか世界選手権にあんまりこだわってなくて、まずは目の前の一つの試合で観客の人たちに感動を与えられたらいいなっていうほうが大きいみたいです。もちろん、クリス(クリス・リード)と平昌オリンピックに行けたことは自分の中でも宝物なんですけど、そのときも組んですぐにオリンピック、とはあまり考えずに、とにかくアイスダンスを楽しむことしか頭にありませんでした。ステップバイステップが好きですし、いろんなストーリーを氷の上で表現したい気持ちが強いですね」

  パートナー探しと並行して新たに挑戦していきたいのが、振付けだ。以前から、振付けの重要性や踊る楽しさを知ってほしい、という思いがあり、将来は振付師になりたいという夢を持っていた。『氷艶』の合宿中に荒川静香のショーナンバーを依頼されたが、実際に振付けをしたのは実はこれが初めてだった。

 「最初に聞いたときは、『私でいいんですか?やったことないけど大丈夫ですか?』って(笑)。自分が振付師に向いてるかも分からなかったんですけど、やってみてすごい楽しかったです。曲はレディー・ガガさん主演の映画『アリー/ スター誕生』から「Always Remember Us This Way」です。フレンズオンアイスで披露してくださって、私も見に行ったんですけどすごいドキドキしました」。

 振付け以外にも、姉が指導するタイの生徒のスケーティング練習を手伝ったり、高橋大輔が新潟で行った一日スケート教室でアシスタントをしたり、と活動の幅を広げている。「教えるのも好きですし、小さい子の振付けとか、スケートに関することでお手伝いできるなら何でもします!」と時間がある限りやっていきたいという考えだ。

 現状、日本ではホームリンクがないため、気軽に氷に乗れずウズウズする毎日。気づけばスケートの動画を見ているほど、根っからのスケート好きだ。アイスダンスの良さを日本でもっと広めたいという気持ちも強いが、「まずは、競技者として戻れたらいちばん嬉しいなって思います。アイスショーももちろん楽しいんですけど、競技ならではの緊張感が好きなんだと思います」。

 「今はまだ『復帰します』っていう宣言はできないけど気持ちはありますし、近々復帰できるって信じてます!直感が当たることが多いんで(笑)。いつ声をかけられてもすぐ滑れるように、氷に乗れなくてもトレーニングは続けておかないと。1日1日を大切にしないとな、と思いながら過ごしてます」

 シングルからアイスダンスに転向して5年、日本のアイスダンスを盛り上げてきた村元。どんな形であれ、その華のあるスケートをまた見られるときがすぐに来るはずだ。

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