神戸市の学童保育は開くの遅い? 自治体間で開所時間に差がある理由

どなどな探検隊(パートナー記事)

神戸新聞社 神戸新聞社
神戸新聞NEXT
神戸新聞NEXT

 「なぜ神戸市の学童保育は土曜日だけ開くのが遅いの?」。無料通信アプリLINE(ライン)を使った神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、神戸市須磨区の母親からこんな質問が寄せられた。同市の学童は、夏休みなど長期休暇中の平日は朝8時半から始まるが、土曜日は年間を通じて9時。確かに仕事があるのは平日だけとは限らない。出勤時間を考えても「30分」の違いは大きい。早速、取材を始めてみた。

 働く親の子どもを放課後や週末に預かるのが学童保育。放課後児童クラブとも呼ばれ、学校内の施設や児童館を利用する。

 投稿してくれた母親は介護関係で働き、夫は調理師。週末はともに仕事がある。土曜日は小1の長男と朝8時25分ごろ、一緒に自宅を出る。「本当は8時10分には出たいけど、始業時間ぎりぎりに出勤させてもらっている」という。

 長男が学童に到着するのは8時40分。開所する午前9時までは「雨の日も暑い日も外で待っている」。小1のため、鍵を持たせるのはためらう。夏場は熱中症も心配だ。女性は言う。

 「販売員やサービス業、保育士など土曜日にも働く親は多いと思う。土曜も早く始めてほしい」

 神戸市と兵庫県内の中核市4市に現状を尋ねると、開所時間に大きな差があることが分かった。

 姫路市はもともと長期休暇中と土曜は朝8時から利用できる。さらに今年は8月中下旬の平日、試験的に「7時開所」に踏み切る。

 同市によると、「保護者の生活リズムを考慮」して昨夏、7施設で1週間「7時開所」を試行したところ、対象児童664人のうち約35%が8時前から利用した。その後の保護者アンケートでも好評で、今夏は試験の対象を公営の全67施設に拡大。来年夏からは本格実施も視野に入れる。

 西宮市も従来、長期休暇中の平日と土曜日は朝8時半からだったが、今年から全41施設で8時に早める。2016年に一部施設で実施して以降、年々数を増やし、今夏で足並みがそろった。市は「『学校の開始時間に合わせてほしい』という声が多かった」と理由を説明する。

 取材した5市のうち、土曜日の開所が午前9時だったのは神戸市と尼崎市。神戸市は「学童保育の運営を委託している児童館のオープンが9時なので、それに合わせている」「土曜日は利用者が少ない」などと理由を説明する。開所を早める方向で検討するものの「職員の確保が難しく、実施にはまだ時間が必要」とも話す。(伊田雄馬)

(神戸新聞「スクープラボ」から)

→神戸新聞NEXTのウエブサイトは

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201907/0012553498.shtml

▼どなどな探検隊 パートナー協定について

 まいどなニュースはオンデマンド調査報道の充実に向けて、北海道新聞、岩手日報、河北新報、東京新聞、京都新聞、中国新聞、神戸新聞、テレビ西日本、エフエム福岡、琉球新報と連携協定を結んでいます。「どなどな探検隊」に寄せられる調査依頼や内部告発のうち、取材対象地域外に関するものなどは各社と情報を共有。北海道新聞の「みんなで探る ぶんぶん特報班」岩手日報の「特命記者−あなたの疑問、徹底解明−」、河北新報の「読者とともに 特別報道室」、東京新聞の「ニュースあなた発」、京都新聞の「読者に応える」、神戸新聞の「スクープラボ」、中国新聞の「こちら編集局です あなたの声から」、琉球新報の「りゅうちゃんねる~あなたの疑問に応えます」の記事を相互交換し、新聞や自社のウェブサイトに随時掲載します。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース