母子健康手帳をもらったときは、「やっともらえた」という気持ちもあって健診のたびに大事に持ち歩いていた。
この手帳には、ママ(妊婦)の健康状態や妊娠中の経過記録、出産時の状態と産後の経過、乳幼児の発達記録、予防接種や歯科検診の記録などが書き込めるようになっている。
母子健康手帳1冊で妊娠中から赤ちゃんの健康状態までを把握することができる素晴らしいシステムだ。
しかし、私の手帳は看護婦さんが記入してくれた数字以外は全くの白紙。理由は「成長の記録」という項目だった。そもそも、800g台で生まれて3ヶ月間NICU(新生児特定集中治療室)にいた子どもたちが3000g以上で生まれてきた子どもたちと同じように発育するはずもなく、生後1ヶ月頃の発達の記録というところですでに挫折してしまった。乳児身体発育曲線を書き込もうにも、スタートの体重は2kgからだし、月齢別で○○ができるようになりましたか?という問いはすべて「いいえ」になってしまう。やればやるほど黒歴史になってしまいそうで、書き込むのをやめた。
育児書に関しても多胎児専用に書かれた本は少なかった。今でも信頼できる一次情報に関しては足りないのが現状だと思う。そんなママたちの不安によりそってくれるのが「ふたご手帖」だ。今年で発行3年目を迎える。
ここに記載されている内容は、全国の多胎サークルに所属する565名の多胎児ママから提供された母子健康手帳の記載データと質問紙調査による回答などをもとに看護大学の大木教授らと助産師、保健師、保育士などの資格と長年の多胎児支援活動経験を持つ多胎児ママたちによってまとめられたものだ。
この565名という数字、年間に出産する女性の100人に1人が多胎児の母親になっているということを考え単胎妊娠データと比較すると100倍。約56500人相当のデータに匹敵するのではないかと思う。
「ふたご手帖」には、妊娠の経過や注意点などの医学的なことや産後1年までの必要なアドバイスがイラストでわかりやすく説明されている。私が行っていた3人同時にミルクを飲ます方法も、授乳方法の一つとして紹介されている。これを事前に知っていれば「これで本当に良いのか?」と不安になる必要もなかったはずだ。別冊記録ノートは、ふたり分の記録スペースが用意され、身体発育曲線もふたご専用の数値となっている。
妊婦さんへのプレゼントはもちろん、看護師・助産師を目指す学生さんなどにも読んでいただきたい内容の濃い一冊だ。
現在、関西で多胎児家庭に「ふたご手帖」を配布している自治体は明石市のみだが、希望される方は購入も可能。詳しくは、ふたご手帖プロジェクトまでお問い合わせを。
■ふたご手帖(別冊ふたご手帖記録ノート付き)1,000円(税込み)+送料360円別途
※10月以降は金額が変更となります。
http://futagotecho.blog.jp