映画館に行って映画を観る楽しみのほかに、これから上映予定の映画のチラシを見る楽しみもある。映画館側にとっては、次にまた足を運んでもらうための大事な広告ツールでもある。ところが、この新作チラシが大量に持ち帰られ、オークションサイトなどで取引されているという。「チラシは映画館にとって生命線です」というミニシアター広報が悲痛の声を上げた。
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映画を観る基準は何か。前評判、好きな俳優が出てるから、なんとなく。そして今も昔も変わらないのは映画のチラシを観て、判断する人多いと思います。
映画のチラシを手に入れるには映画館に行くのがほとんど。ネット環境がないシニアのお客さまにとっては大事な、本当に大事な情報源。その情報源が今、危ない。兵庫県神戸市の元町映画館では最近、スタッフからこんな声が漏れる。「補充して10分してから戻ると、大量にあったチラシがなくなっている」。この劇場ではスタッフが休憩時間などを利用して無くなったチラシを補充している。デジタル全盛期の今でもこのアナログ作業が本当に動員につながる。映画館にとっても収入源だ。
しかしこのチラシ=お金がなくなるとはどういうことか。さらにスタッフに聞いた。「どうやらある一定のお客様が大量に同じチラシを持ち帰っているようだ」。チラシはあくまで映画の宣材。特にこの劇場では一人○枚までといった制限はない。ただ大量にチラシを持ち帰るとその分、知りたい方に情報が届かないということもありうる。スタッフは「特にお昼時の忙しい時にスタッフの手が空いていないときに、チラシがなくなるのはお客様にとっても大事な、人生を変えるような作品を逃す可能性もある」と語る。
一般に映画のチラシは1枚〇円という形で映画配給会社から買い取ることもあるそうだ。つまりチラシが1人のお客様に大量に持ち帰ることは劇場にとって良くない。特になくなるのはビジュアルがカッコよいものや有名な俳優が出演しているチラシはあっという間になくなる。