世代間ギャップの一因は学校にあった?社会人が先生に「日本総先生化計画」が進行中

広畑 千春 広畑 千春

 「これだから『ゆとり』は」「昭和世代は非効率的すぎる」。いつの時代にも、どこの会社・組織でも、国が変わっても人々を悩ませる「世代間ギャップ」。無くすことはできないにしても、せめてギャップを理解する一つの端緒に、普段学校の先生と親ぐらいしか「大人」との接点がない子どもたちに、サラリーマンら一般の社会人が定期的に授業をする「日本総先生化計画」が進行中という。口コミながら、今年1月の立ち上げ以降、参加者数は中高生や現役教員も含め約370人に。その仕掛け人を訪ねた。

 その人は、西宮市出身の小澤悠さん(29)。現在は大手商社の労働組合専従として働き方改革に取り組むが、多くの企業にヒアリングをした結果、見えてきた大きな課題の一つが、企業内の人間関係だったという。

 「日本の企業は特に年齢に基づいた上下関係が厳しい。リスペクトならいいけれど、実際は忖度になっている場合が大半です。一方、若手はそういう年上や制度が嫌い。何が原因か突き詰めていくと、やはり原点は日本の学校システムだと思ったんです」

 オランダなど諸外国では飛び級や留年が制度化されている国もあるが、日本は義務教育の間は年齢で区別され、高校ぐらいまでの間で親と学校、習い事の先生以外の大人と接する機会はほとんどない。周囲の大人の「生の」仕事を目にする機会も、中学校の職業体験程度で、ましてや仕事に絡んで大人と子どもが本気の議論をすることなど皆無に近い。

 「例えば、今学校ではお金の授業はタブーになっている。でも、実際の社会はお金で回っていて、大半の人がお金を稼ぐために辛いことも我慢しながら、知恵を絞り、折衝をして働いている。その姿を伝えなければ、『大人』が魅力的に映る訳もないんです」

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース