米国内では訴えられた少年を擁護する意見が多かったように見受けた。訴えられた母親が裁判に必要な4000ドルの寄付金を募ると、あっという間に15000ドルに到達した。
しかし、訴えた母親がやり過ぎだと切り捨てることもできない。米国では脳震盪のリスクがよく知られるようになってきている。脳震盪を繰り返すことや、回復しないままに再び脳震盪を起こすことは、重い後遺症が残る。もしかしたら、訴えた母親は、頭にボールが当たったときの学校側の対応に不満があって、我が子のクラスメートを訴えるに至ったのかもしれない。
さて、10歳の少年は、裁判でどのような判決を下されたのか。
結局、裁判には持ち込まれず、検察側が訴えを取り下げた。検察側は次のような声明を出した。
「両家族とも、子どもに愛情を注ぎ、子どもにとって最も良いことをしようとしていることは疑う余地がない。この件については、前進するためによりよい方法があると考える。双方が話し合いのテーブルにつき、両方の子どもたちの利益をもたらす解決策が出ることを切に願っている」。
当事者同士で話し合うべきということだ。常識的な見解に軟着陸したと言えるのではないか。ただし、感情的にこじれた両者の話し合いがうまくいくか。この学校で、休み時間にドッジボールに似た遊びを禁止する方向に動くか。それとも安全に配慮した形で遊びは生き残っていくのか。9月から始まる新年度に持ち越されることになりそうだ。