終業式から家に帰ってくると、まず子どもが親に見せるものといったら通信簿ですね。「よく頑張ったね」「数学はもう少し頑張らないとね」。そんな会話はどの家庭でもあるのではないでしょうか。ところがアメリカでは、オンライン(電子)通知表が浸透。そのため親も子どもも学期末でなくても好きなときにアクセスして成績を見ることができるようになりました。電子通知表、日本にもやがて導入されるのでしょうか。米国デトロイト郊外に住む通信員に実情を聞きました。
10年前にオンライン化
私の子どもは公立高校に通っていますが夏休みに入る前、通知表を持ち帰ってきませんでした。今秋から12年生(日本の高3)になる長男が小学校低学年のときには、まだ、通知表を受け取っていたのですが、この10年間に電子版に切り替わったのです。
電子通知表にログインするためのアカウント番号とパスワードが、子どもひとりひとりに割り当てられます。これを保護者と子どもで共有しています。もしも、家庭にパソコンやスマートフォンがなかったり、インターネット環境がなかったりしたら、どうするのでしょうか。市内の公共図書館にはずらりとパソコンが並んでいるので、これを使うこともできますし、先生に電子端末はネットがないと伝えれば、もちろん、紙で通知表をもらうこともできます。
電子通知表には、成績を決める要因となる全ての情報が入っていて、ほぼ毎日、更新されています。エクセルのようなソフトウェアをイメージしてもらうとよいかと思います。日々の宿題を提出したか、小テストの点数、グループワークやレポートなど授業時間に行った課題の評価点、そして、学期末のテストの点数などが、その都度、各教科の先生たちによって入力されます。
先生たちが日々、入力する小テストの点、課題の評価点、そして学期末のテストが自動計算されて、成績も自動的に算出されます。学期末テスト満点で、他のテストや課題、宿題も全てパーフェクトだった場合は100%で満点です。学期内の評価対象の全てのポイントが自動計算され、A(90%以上)、B(80%以上)、C(70%以上)、D(65%以上)といった成績がつきます。
小テストの結果も親に隠すことができない
中学校や高校では、成績を決める要因の比重が事前に生徒に伝えられています。学期末テストの点数の割合(たとえば20%)、日々行う小テストの点数の占める割合(たとえば50%)、授業で行った課題の評価(たとえば25%)、宿題提出(たとえば5%)というようになっています。この比重は教科や先生によって異なります。
生徒側は、電子版の通知表を日々確認しています。先生が点数の入力間違いをしているときは、修正するよう申し出るのも生徒の義務です。学期末テストで100点をとっても、それまでの小テストや授業中の課題の点数が悪く、A評価に必要な90%を届かないなどということも、中高生たちはテストの前に把握しているようです。
電子通知表は、日々、その教科の現在の成績が分かり、自動計算されるため、成績のつけ方も明瞭です。しかし、明瞭であるあまりに、やや息苦しい感じもあるのではないかと心配にもなります。私の中学、高校時代には、通知表や中間テストや期末テストの点数が書かれたカードは親に渡していましたが、それ以外のものは親に見せていませんでした。
ところが私の子どもには、小テストや授業中の課題が悪い点数であっても、親に隠すことができません。クリックひとつで丸見え、筒抜けです。私も、あまりにもテストの点が悪いと勉強しなさいとは言います。しかし、その一方で、全て親と共有しなければいけない子どもたちを気の毒にも思っています。