「♪うさぎ追~いし かの山 小鮒釣~りし かの川―」
誰もが知っている“日本の歌”の代表格が、この文部省唱歌「故郷(ふるさと)」だろう。メロディを耳にすると、誰もが幼いころ山や川で遊んだ風景がよみがえってくる…気がする。経験したことがなくても、歌詞の情景が目に浮かぶと言えば納得してもらえるだろうか。そして、ここに登場する“ふるさと”には実際のモデルがあったという。
この歌、作詞は高野辰之。そう、彼が生まれた長野県中野市が由緒正しい“ふるさと”だとされているのだ。ちなみに同地は、童謡界の巨匠・中山晋平の出身地としても有名。中山は「シャボン玉」「背くらべ」「あめふり」など広く知られている童謡や「東京音頭」等の民謡も手掛けている名作曲家だ。
話を戻そう。今でも同市永江地区の「ふるさと橋」に行けば「故郷」の情景を見ることができるという。そこで「高野辰之記念館」の職員の方に話を聞いてみた。
―歌に出てくる山や川も実在するのでしょうか。
「うさぎ追いしの“かの山”は大平山、熊坂山、大持山。小鮒釣りしの“かの川”は永江地区を流れる班川(はんがわ)を指しており、橋の上からひと目で鑑賞できます」
―橋そのものにも仕掛けがあるとか。
「橋の欄干にはメロディパネル(鉄琴)が設置されており、順番にたたくと『故郷』のメロディが演奏できます」