スーパーの安売り広告に乗せられて「安物買いの銭失い」…働いてみて分かった堅実な買い方

平藤 清刀 平藤 清刀
広告の値下げ商品はつい買いすぎてしまう(写真はイメージです)
広告の値下げ商品はつい買いすぎてしまう(写真はイメージです)

たいていのスーパーでは、客足が鈍る週の半ばにも折り込み広告を出して集客を狙う。単純な値下げ以外にも「増量」「バンドル」などの手法でお得感をアピールするのが功を奏して、ついつい買いすぎてしまうお客さんもいるようだ。とある店舗の惣菜部門でアルバイトをしていた経験から「安物買いの銭失い」にならない方法をご紹介したい。

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仮称「港が見えるスーパー」では、水曜日にタブロイド判の折り込み広告を出す。週の半ばは客足が鈍りがちになるため、週末の広告とは別の商品を値下げして集客を図るのだ。

惣菜売り場ではよく「増量」という売り方をしていた。値段を下げない代わりに、中身を増やすのだ。値段を下げないで平常の売り方をする商品を業界用語で「定番商品」という。たとえば定番で5個入り1パック298円のミンチカツを、1個増やして6個入りにしたり、180グラム298円の鶏唐揚げを200グラムで売ったりしてお得感を出す。

「値段、いつもと変われへんやないの」と言ってくるお客さんは、まだスーパーでの買い物初心者だ。ベテランの(?)お客さんは、広告をしっかりチェックしてくるから、何がお得になっているかを知っている。もちろん売り場にポップを立てたり、商品に「増量」のシールを貼ったりしてお得感をアピールする。

お得感を演出するには、このほかに「バンドル」という売り方もある。

定番で1パック180グラム298円の鶏唐揚げだと、中身を減らして160グラムで260円にする。値段は下がっているが中身も減っているので、1パックだけ買うにはお得感が薄い。ところが、これを2パック買うと500円になる値段設定をする。だから20円お得である。

ほかにも定番で5個入りのミンチカツを4個入りにするなど、少しずつ減量して値段を下げ、2パック買えばさらにお得ですよとアピールするのがバンドルである。

でも、それらは本当にお得なのか。多くの人は「値段が安い」「2パック買ったら割安になる」、だから得をしたと思っているかもしれない。安売りをした商品は、たしかに利益率は下がる。が、相対的にお客さんが得をしたのかというと、一概にそうとはいえない側面もあると筆者は考えている。

どういうことかというと、お客さんがやってしまいがちな失敗の上位にくるであろう「買い過ぎ」を誘発してしまうからだ。

港が見えるスーパーの常連さんで、二人暮らしの老夫婦がいた。あるとき、バンドル商品の揚げ物を多めに買ってしまったという。後日、売り場で顔を合わせたとき、

「安いから買ったけど、家に帰ってから『これ、どないすんねん』って思ったわ。よぉ考えたら、2人で食べきれへんがな」と苦笑いしていた。

「安物買いの銭失い」になってしまわないためには、どうすればいいのだろう。定番でパック売りしている揚げ物には、たいてい「少量パック」が用意されている。定番で5個入りのミンチカツには3個入りの少量パック、180グラムの鶏唐揚げには110グラムの少量パックなど。ただし広告の対象商品でも、少量パックは値下げしない。しても値下げ幅は小さいが、多めに買いすぎて余らせてしまうことを考えたら、はじめから少量パックを買ったほうが結果的に財布にやさしいはずだ。

また、広告に載っている商品すべてが、広告の期間中安いわけではない。たとえば水曜日から金曜までが対象の広告なら、金曜日だけ安くなる商品もある。これは3日間まんべんなくお客さんを呼び込むための工夫だ。あるいはチラシが配信されるアプリを利用しているお客さんを対象にしたサービスもある。

そして、お得情報源としては「店員」も見逃せない。広告が入る何日も前から、販売計画を知っている。日ごろから仲良くなっておくと、お得情報をこっそり教えてくれるかもしれない。

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