中卒、大人不信、帰国子女…波乱万丈な子どもたちが利用する関西のWeb塾とは

國松 珠実 國松 珠実
web塾ko-ko代表の田上裕太さん。ホワイトボードを使って、生徒との1対1のオンライン授業を行う
web塾ko-ko代表の田上裕太さん。ホワイトボードを使って、生徒との1対1のオンライン授業を行う

 帰国子女を見てみると、彼らが直面するのが海外と日本の教育システムとのギャップだ。小中学生で海外へ出て、数年過ごしたのち帰国、受験期を迎える子どもたち。学力においては、数字を使う理数系科目は楽勝かと思いきや、異なる出題形式や日本語の問題文でつまずく子どもが多いそう。やはり国語力が基本と痛感した田上さんは、数学や理科の教科書の解説する前に、まず生徒に音読してもらっている。しかも速音読だ。「できるだけ早口で読んでもらうんです。メリットは2つ。まず、音読なので読めない漢字がはっきりわかります。2つ目は、生徒自身が理解できない部分を自覚できること。人間って、よくわからない部分を読む時に読めなくなる。止まるんです。だから生徒は、その後の解説をきちんと聞こうとします」。さらに文章の塊(かたまり)が理解できるようになれば、リズムよく日本語を読めるようになるそうだ。

 「1対1で行うメリットは、生徒ときちんと向き合えること。録画ではなく、テレビ電話のスカイプだから講義も一方的になりません。質問は講義中以外にラインなどでも常に受けています」と田上さん。他にも部活動が忙しく一般の塾へ通えない子どもにも、ぜひこの塾を利用して欲しいと語る。「塾なので成績アップにこだわるけれども、成績は進学のための1つの手段。社会人で必要なのは主体性です。学力と主体性の2つを伸ばすお手伝いができれば、それがベストですね。時間はかかりますけれど」と笑った。

 web塾ko-koは約5名の講師による担任制。担任は入塾時の面談で決めるという。保護者へは報告書を送り、質問や相談にも応じる。「私たちと話すうちに親御さんの意識が変わり、子どもとの関係が良好になったという人もいた」という田上さんは、子どもが変わるためには周りの大人が変わらなくてはと語る。そのため、保護者向けにラインや電話などで思いを吐き出しストレスを取り除くことも行っている。

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