堺の百舌鳥エリア、藤井寺市と羽曳野市の古市エリアの「百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)」が、7月6日、大阪初の世界遺産に決定して以来、関西各地で古墳やはにわのイベントがおこなわれている。
世界遺産となったのは、世界最大の古墳「仁徳天皇陵古墳」をはじめとした全49基。周辺は公園や住宅街などに囲まれ、近隣の住民からは「見慣れて、当たり前のような光景」という声もあるほど、市民にとっては身近な存在だ。
古墳イベントを企画するのは、『come come* はにコット』の実行委員会。第1回は2012年に開催され、2018年11月に「今城塚古墳」(高槻市)でおこなわれたイベントでは、3万5千人を動員した。主婦で樹脂アート作家のマキリエさんが実行委員長をつとめ、同古墳の魅力を少しでも知ってもらうために、古墳関連の雑貨やフードの販売、ライブ、ファッションショーなど様々な企画を立ち上げたのがはじまりだ。
「古墳は考古学の世界だけでなく、おいしくて(古墳フード)、かわいくて(古墳グッズ)、楽しいが全部混じったもの。特に高槻の今城塚古墳は、日常では味わえない異空間でもあるので、古代人と同じようにお祭りをして、みんな一緒に古墳を楽しんでもらいました」とマキリエさんは話す。ライブでは、「古墳にコーフン協会」会長で古墳シンガー・まりこふんさんのパワフルなステージが注目された。地元高槻市出身のギタリスト・ウルフルケイスケとのコラボや、古墳ソング界の名曲「キトラ永遠に・・・」の続編も初披露され、大盛況だったという。
「最初は古墳? となかなか受け入れられませんでした。でも古墳の形は丸、三角、四角からなるシンプルな幾何学模様。デザインの原点なんです。参加するクリエイターたちのクオリティが高くなるとともに、SNSで『かわいい』と言ってもらえるようになり広がってきました」と、古墳グッズについて話すマキリエさん。
「世界遺産登録に決まってからは、古墳への興味がさらに高まったことを感じています。会場風景の写真を撮ってくださる方も多いし、幅広い年代の方が面白がってくれていますね」とも。8月に「阪急うめだ本店」(大阪市北区)でおこなわれたイベント『古墳はにわフェス』では、過去最大の規模でグッズを販売し、古墳をイメージしたファッションショー『墳コレ』や、古代ゆるキャラの集結、ライブなどの企画をおこなった。
2人で来場していたのは、古墳の世界遺産登録を応援してきたミュージシャン・レキシの影響から古墳好きになった女性と、歴史学科出身の30代女性。「知識はあまりないのですが古墳仲間です。アイテムなどがかわいくて楽しいですね」と、じっくりと会場を巡っていた。古墳に対する知識はなくても「なんだか楽しそう」という思いだけで、気軽にイベントに参加できる。そんな間口を広げてきたマキリエさんの功績は大きい。また、2019年の古代とアートの祭典『古墳フェス カムカムハニコット』は、11月17日に開催が決定された。