高齢化が進む中、伴侶に先立たれ「おひとりさま」として暮らす人も増えています。ただ、遺品整理や終活などを手掛ける「Dear Family」の金城富仁さん(49)によれば、女性のおひとりさまに比べ、男性は大変になりがちだそう。「今の70代以上の男性は、男や仕事、女は家事育児―という固定観念が強く、『男子厨房に入らず』を美徳としていた世代。目を覆うような光景を目にすることも少なくない」といいます。
ある70代の男性は、妻に先立たれ、5年以上一人で暮らしていました。認知症の症状もあり、病院に入院し、自宅に帰ることなく亡くなったそうです。男性の親族から依頼を受け、玄関のドアを開けると、部屋にこもっていた、ほこり混じりのすえた強烈な臭いが漂ってきました。
親族は近くに住んでいましたが、あまり行き来はなく、食事は自分で作っていたようです。ただ、台所のシンクには汚れたままの食器や鍋などが置かれ、どの部屋も物が山積みに。居間は踏み場もないほどものが散乱し、おそらく敷きっぱなしだったと思われる布団は、シミだらけでじっとりと湿っていたそうです。
お風呂も、シャワーだけでほとんど入ったことがなかったのでしょう。いつためたか分からない水が、なぜか少しだけ張られた状態でヘドロ化し、恐ろしい悪臭を放っていました。作業は「男4人がかりで丸4日かかった」そうです。