音声翻訳機「ポケトーク」の実力は? 導入半年、外国人観光客が殺到するJR西の駅員に聞いてみた

広畑 千春 広畑 千春

 ポケトークが導入される以前は、駅事務所に通訳につながる電話があり、それで対応していました。ですが「まず、お客様にどの言語が話せるかを聞いて、プッシュボタンで選んでつないでもらい、状況を説明し、電話をお客様に代わる。早くても数分はかかってしまい、何より対応言語も英語や中国語など4か国しかありませんでした」と振り返ります。

 一方、ポケトークが導入された後は対応言語が74に増え、会話が難しくても直接端末を渡して言語を選んでもらえるので、「使い方さえ慣れれば、以前よりずっとスムーズにできます」とか。「例えば、スマホの音声翻訳などでは『鶴(crane)』と『橋(bridge)』に分かれてしまいがちな大阪環状線の鶴橋駅も、ちゃんと『鶴橋(Tsuruhashi)』と地名で認識してくれる。僕は英語も中学生レベルで、他の語学も全然。正直、以前は腰が引けてしまうところもあったんですが、今は“待ち”の姿勢ではなく、積極的に声がかけられるようになりましたし、翻訳を見て少しずつ表現も覚えてきた気がします」と話します。

 そうこうしていると電車が到着。𠮷川さんはガイドブックと案内表示とをにらめっこしていた中国人グループに声をかけると、ポケトークを使って、トロッコ列車の駅の行き方や、何分おきに出るかなどを説明しました。男性は納得した様子で「家族9人で来たんだけど、小さい子どももいて困っていた。助かりました」と去っていきました。

 ちなみに記者もポケトークを使ってこの男性に質問をしてみましたが、日本語と同じように、間に修飾語を挟みながらタラタラと聞いてしまったため、翻訳された文章もまどろっこしく、「???」という反応に…。「文章より単語の方が、伝わりやすいですね」と𠮷川さん。日本語だろうと外国語だろうと「翻訳しやすい質問」=「分かりやすい質問」ですよね。猛省です。勉強になりました!

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