女性社員への、パンプスやヒールの着用の義務付けに対して、異議を唱える署名運動が広がっている。SNSでは、「靴」と「苦痛」をかけた「#Kutoo」のハッシュタグと共に、異議や疑問の内容を投稿する人が今も続いている。
社会人のツイートから始まった「#Kutoo」運動だが、就職活動を行う大学生の間でも話題となっているようだ。就活生のパンプス着用に対するリアルな声を聞いた。
就職活動ではパンプス着用がマナーとなっており、多くの就活生が足を痛めながらもパンプスを履いているという。明確なルールがあるわけではないが、リクルートスーツ(就活用のスーツ)とセットで販売されるほど、就活生にとってパンプスは“当たり前”の存在なのだ。
まず話を伺ったのは、神戸大学の4年生のFさん(21)。「パンプスは本当に水ぶくれができる」と、就職活動を振り返りながら、Fさんは自身の足を指差した。パンプスを履いて長時間移動すると、靴と擦れて足指の第二関節やアキレス腱の部分に水ぶくれができることは珍しくないと話す。
Fさんも就職活動を始めた頃はマナーに従っていた。Fさんが履いていたのは、高さ4cmほどでストラップのついた黒いパンプスであり、就活生は基本的に同様のものを履くそうだ。
Fさんも就職活動を始めた当初は、パンプスを履いて企業説明会などに足を運んだが、自身の進みたかったファッション業界に絞ってからは服装の制限が少なく、パンプスやスーツの悩みはなくなったそうだ。
「パンプス着用のマナーについてどう思いますか?」と率直な疑問を投げかけると、Fさんははっきりとした意見を返してくれた。
「そんなルールはいらないでしょう。履きたい人は履けばいいし、履きたくなければ履かなければいい。根拠のない『こうじゃないといけない』は嫌です」
また、同じく神戸大学4年生のYさん(22)は、就職活動でスーツを着用する機会が多く、「パンプスとスニーカーの2足を持って、就活していた」という。パンプスを履いて移動すると、やはり靴づれや水ぶくれができるため、面接や説明会の時間まで、スニーカーを履いていたそうだ。
Yさんのように、パンプスとは別に、高さのない靴を持って就職活動を行う大学生は少なくない。中には「帰りはスーツにサンダルで帰った」大学生もいるほどだ。パンプスの着用が“当たり前”の現状を、Yさんはどう思っているのだろうか。
「明確なルールはないけど、服装がスーツという指定があれば、靴はパンプスとなる。就活の時だけならまだ我慢はできるが、就職して毎日のこととなると嫌。そういう規定がないところ(企業)に行きたいと思っている」
そう話したYさんは、パンプスをはじめ、服装の規定も企業選びの軸にして就職活動を進めているということだ。