鉄道好き、集まれ!とことん鉄道にこだわった“就活セミナー”が2月27日、大阪・大東市の大阪産業大学キャンパスで開催された。「鉄道・関連企業業界研究会」と題して鉄道関連18社に3つの自治体も参加。3月1日のエントリー解禁を前に、来春卒業見込みの学生が熱心に耳を傾けた。鉄道業界だけに絞った就活は画期的な試み。その舞台裏を取材してみた。
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出展ブース。スーツ姿の学生は本番さながら真剣なまなざしで人事担当者の説明を聞き入っていた。対象は19年3月卒業の学生。大産大はもちろん、近畿2府4県の大学からも鉄道業界に関心を持った就活生が集まった。いわゆる「鉄子」もいたが、男女比はほぼ9対1といったところか。最終的な参加者は124人。友人と参加した立命大の学生は「鉄っちゃんではありませんが、鉄道業界には憧れてます。一度に話が聞けて良かった」と満足顔だった。初めての試みだったことと肌で感じた学生の熱気を考えれば、大成功といっていい。
今回企画したきっかけは、もともと大産大が「大阪鉄道学校」として産声を上げた歴史があったから。キャリアセンター内で「鉄道業界を一度に集められたらおもしろいのでは」という話が持ち上がり、行動に移した。同センター竹原千絵課長補佐は「やるだけやってみよう、ということで1年ほど前から各企業を訪問。思った以上の反応でした」と笑顔を浮かべた。
快諾したのはJR西日本、JR東海、近鉄、阪急などの鉄道会社の他にレールテック、ゼネコンの大鉄工業など鉄道に関連する18社。さらに、自治体や地方の就活を支援するため厚労省から委託されているLO活も加わった。
企業側にも「ぜひ、来年も参加したい」と軒並み好評。創業120年の歴史を持ち、沿線に酒蔵が多いことから酒蔵列車やワイン列車、ビア電といった企画列車を走らせている近江鉄道の塚田真司人事部長は「いい試みだと思います」と評価し「運転手や企画部門が人気で技術系、電気系は人手不足ですが、鉄道が好き、関心があるのはありがたいことですね。地域の足として、踏ん張っている会社。地域密着に取り組んでいく人材を求めます」とPRした。
今春民営化される大阪地下鉄も来年から参加を検討しており、大産大の斬新で画期的な試みはますます発展して行きそうだ。
※参加企業・団体
JR西日本、JR東海、阪急、近鉄、大阪高速鉄道、神戸電鉄、東京メトロ、近江鉄道、広島電鉄、肥薩おれんじ鉄道、IRいしかわ鉄道、電業、レールテック、西日本電気テック、東海交通機械、大鉄工業、大同信号、鉄道・運輸機構、広島県庁、熊本県庁、LO活