大雨に警戒の梅雨シーズン、避難に対する意識を

気象予報士・半井小絵
気象予報士・半井小絵

 6月26日、九州北部、中国、四国、近畿で、記録的に遅い梅雨入りの発表がありました。平年より19日から21日も遅い雨の季節のスタートです。現在、梅雨前線と熱帯低気圧(24時間以内に台風に変わる見込み)の影響により大雨、強風、高波の情報も出ていて、広い範囲で荒れた天気となりそうです。最新の3か月予報によると、7月の雨の量は全国的に平年並みか多い予報です。大雨に警戒が必要な季節となりました。(6月26日8時現在 気象庁/気象情報より)

 今シーズンから台風の「予報円の半径の大きさ」が約20%小さくなることをご存知でしょうか。予報円とは「予報時刻に中心が70%の確率で到達すると予想される範囲」です。新しいスーパーコンピューターの導入等により予報精度が上がりました。

 技術の向上だけではなく、情報の出し方も改善されています。5月末より水害や土砂災害の警戒の緊急度が「レベル」で発表されることになりました。キーワードは「レベル4」。レベル4になると、危険な地域にいる方々は全員避難を考える必要があります。自治体が発令する避難の情報では「避難勧告」や「避難指示(緊急)」にあたります。

 また、「レベル3」は、避難の情報では「避難準備・高齢者等避難開始」で、避難に時間がかかる方々への避難のきっかけとなります。

 昨年の西日本豪雨で多くの被害が出た岡山、広島、愛媛3県では、避難指示対象地域の避難率は平均5%に届かなかった(共同通信)という結果があります。危険度が伝わっていなかったというのが理由のひとつですが、レベル化を進める前に、避難に対する意識を変える啓発も必要ではないかと感じています。その上、自治体からはレベルが発表された際の対応について、逆に困惑しているという声があります。次のコラムでは、このことについて書きたいと思います。

 レベル化は、自治体に頼るのではなく、住民が自らすすんで安全な場所に避難し、命を守る行動を考えることを促す大切な指針となります。各地で雨の季節を迎えた今、人は「自分は大丈夫!」ではなく「自分の身に降りかかったら」と改めて考えてみてください。

 (内閣府情報http://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/h30_hinankankoku_guideline/index.html

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