元G戦士の遺灰が宇宙へ 夫人「いつまでも輝いて」地球の軌道を周回

佐藤 利幸 佐藤 利幸

 プロ野球南海や巨人で活躍した富田勝さんの遺灰を積んだロケットが24日(日本時間25日15時30分)、米フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられた。富田さんを含め日本人9人の遺灰を載せた人工衛星はこの後、地球の軌道を25年から最大で240年間周回する。打ち上げの模様はインターネット上で生中継された。

 富田さんは法大時代に、田淵幸一、山本浩二とともに法政三羽ガラスと呼ばれ1968年にドラフト1位で南海に入団した。その後巨人、日本ハム、中日と渡り歩いた。2015年に亡くなったが、「一度は野球の世界で輝いた。ライバルだった星野仙一、山本浩二、田淵幸一は引退後も(指導者として)活躍したが、自分は忘れられている。空を見て思い出してほしい」と生前から宇宙葬を希望していた。

 宇宙葬は1997年にはじまり、2007年に米人気SFテレビシリーズ「スタートレック」で宇宙船の機関長「スコッティ」役だった故ジェームズ・ドーハンさんらの遺灰を積んだロケットが打ち上げられ、話題となった。日本では5年前に、米セレスティス社の日本正規代理店となる葬儀社、株式会社銀河ステージ(本社・大阪市)がサービスを開始した。

 富田さんの遺灰は令和初日となる5月1日に打ち上げられる予定だったが、エンジンの問題で見送られ、この日に延期されていた。インターネット上の生中継を視聴していた妻・のん子さんは打ち上げの成功に「何度か打ち上げが延期になったが、これでやっと落ち着けます」と安堵した様子。「この世では疲れたと思うから、宇宙ではゆっくりすごしてほしい。それと宇宙でスターになって、ずっと輝いていてほしい」と話した。

 銀河ステージによれば、富田さんの宇宙葬プランは「人工衛星プラン」(95万円)で、遺灰1グラムをカプセルに収納してロケットに積む。遺族はスマートフォンアプリで人工衛星の現在地を確認することができる。その他、月面まで運ぶ「月旅行プラン」(250万円)を含め全4プランが用意されている。生前での申し込みも可能で、国際派女優の島田陽子さんが申し込みを済ませている。

 宇宙葬の認知度は「今年に入って100件ほど問い合わせがあり、そのうち1割から申し込みがありました」(銀河ステージ事務局葬祭ディレクター・生地真人さん)と年々高まっている。

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