金魚に河童で 焼酎の夏、日本の夏

大西 昭彦 大西 昭彦

 ところが、こうした焼酎ブームがピークアウトして、そろそろ10年がたつ。2014年3月の消費増税前の駆け込み需要を除けば、本格焼酎も甲類焼酎も微減傾向が続いているというのが現状だ。大手の価格競争の激しさが増すなか、中小の蔵元は赤字に転じるところもある。

 このままでは業界自体の弱体化につながるという危機感があって、いろいろ知恵をしぼっているそうだ。新しい市場を開拓するにはどうすればいいのか。

 ひとつのヒントは清酒にある。若者のアルコール離れが進むなか、清酒は味に特徴をもたせるなど、苦心しながら高級化路線を切り開いた。焼酎はコモディティ化という成功によって、それがいっぽうで足かせになった。おそらく業界もそれはわかっている。そこで、クセのある香りづけという原点回帰路線が模索されている。懐かしさ漂う金魚や河童もひとつのアイデアだろう。焼酎の夏、日本の夏となるか。

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