抜け毛・薄毛は女性にとっても悩みのタネ。生命に関わる病気ではないものの一度気になり出したら精神的な負担は大きくなる一方だ。女性の頭髪トラブルの大きな原因がホルモンバランスの乱れとされ、加齢とともに顕著になる。髪を含めた体のさまざまな不調にアプローチする「脇坂ウイメンズヘルスクリニック大阪」(大阪市北区)が1日、開院した。関西で初めてという「女性頭髪専門外来」「からだエイジング外来」を併設した女性専門クリニックだ。
同クリニックは大阪・西梅田にあるビルの22階。開院を前に開かれた内覧会に参加した。清潔で落ち着いた雰囲気。診察室、カウンセリングルーム、施術室、パウダールームなどがある。同じビルにある頭髪専門「脇坂クリニック大阪」の脇坂長興さん(55)が院長を兼任する。
脇坂院長は18年間、主に男性の治療にあたり、一部の患者からは“AGA(男性型脱毛症)のカリスマ”とも呼ばれる。脇坂院長によると、近年は女性患者が増加傾向にあり、「この10年で3倍以上になっています。『男性とは別の外来を設けてほしい』『気兼ねなく通院したい』という女性の声が大きくなり、この度の開院に踏み切ることになりました」と話した。
薄毛に悩む男性は20代でも珍しくないが、女性の場合は40代以降、更年期を迎える“お年頃”の人が多いという。同クリニックの顧問医師でウイメンズヘルスクリニック東京院長の浜中聡子さんは、「女性ホルモンは20代後半をピークに低下していきます。女性ホルモンの一つであるエストロゲンには髪のヘアサイクルの中の『成長期』を長く保つ働きがあるので、分泌量が低下すると髪が細くなっていき、全体的にボリュームダウンになります」と解説した。
頭髪の変化が体の外側に現れるエイジング(加齢)のサインなら、体の内側でもさまざまな変化が起きている。併設の「からだエイジング外来」では血管、骨、筋肉などを検査し各臓器の機能や代謝、病気が発症する兆候などの「エイジングサイン」を可視化。病気ではないけれど何となく疲れる、やる気が出ない…といった未病のケアをし、QOL(生活の質)の向上を狙う。
浜中医師によると、抜け毛・薄毛の原因は加齢のほかにも血流の低下、ストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、過度なダイエットなどさまざまで複数の要素が絡み合う。男性はこめかみ周辺、前髪から後退していくことが多く、女性は頭頂部を中心に頭皮が薄くなっていく「びまん性脱毛症」が特徴的だという。
実は筆者は“お年頃の女性”。女性特有の不調にはレディースクリニックや婦人科があるが、頭皮の悩みになると「何科」に行けばいいのか分からなかった。頭も皮膚の一部だからと皮膚科でみてもらっても治療までは至らない。美容室でヘッドスパなどのトリートメントをしてもらうと毛穴の掃除ができリラックスできるが、発毛・育毛にはほとんど効果がない。
脇坂院長は「市販の育毛剤やサプリメントもありますが、その人に合っていなければ効果は期待できません。医療機関でしか出せないサプリメントもありますし、専門医の検査を受けて一人ひとりに応じた医薬品を使い、しっかり治療することが結局一番の近道です」と話す。
治療は主に内服薬・外用薬、サプリメントのほか、患者自身の血液を採取して頭皮に直接注入する発毛法「PRP治療」もオプションメニューとして導入する。
浜中医師は「医薬品と併せて食事、睡眠、運動といった生活改善指導も行っていきます。女性は出産、子育て、育児や家事、介護など引き受けるべきことが多く、そうした負担が心身の不調につながることも。老化に逆らうのではなくバランスよく年齢を重ねていきたいですよね」と女性ならではの視点で患者と向き合う。
この言葉に大きくうなずき頭皮スコープで頭頂部のチェックをしてもらったところ「特に問題ないですよ」との結果で一安心。今後加齢と共にトラブルが出てきても慌てず、専門医の検査・診察を受けて自分の状況を客観的に把握するきっかけになりそうだ。
脇坂ウイメンズヘルスクリニック大阪 www.osaka-clinic.com/womens カウンセリング無料、初診料・検査各5000円、1カ月1万5000円~3万2000円(薬代込)。いずれも税別。