外国人女性コスプレイヤーが見た日本のアニメ文化~米国の“アラ還”世代まで浸透

北村 泰介 北村 泰介

 5周年を迎えた国内最大の総合アニメイベント「アニメジャパン2018」(3月22~25日、東京ビッグサイト)が過去最多の総来場者数15万2331人(前回比105%)を動員し、会場はアニメやゲームのキャラクターに扮(ふん)した国内外のコスプレイヤーであふれた。その中で、日本のアニメ文化で育った若い外国人女性に注目し、話を聞いた。

 人気アニメ『ワンピース』のコスプレ集団に1人だけ欧州系の容貌をした“イケメン”がいた。金髪で、口ひげをはやした男性キャラ「サンジ」になりきったその人は“男装の麗人”だった。今回が初来日という、ポルトガル出身で英ロンドン在住のEikiさん。24歳の女性である。

 「最初に好きになったアニメがワンピース。ポルトガルでもみんな知っていてポピュラーなんですよ。私は女の子が男性のコスプレをするのが好きなのでサンジになりました。ロンドンでは5月と10月にコスプレイヤーたちが集まる大きなイベント『コミコン』があって私も参加しています。アニメジャパンは初めてでしたが、ほんとにナイスですね」

 Eikiさんは会場で知り合った「ワンピース」の日本人グループに誘われて合流。同じ作品の登場人物同士が自然発生的につながるコミュニケーションの場になっていた。

 近くにはアニメ『僕のヒーローアカデミア』の主人公「デク」にふんした女性2人組がいた。その1人、ケイトさんは米ラスベガス出身の26歳。滋賀県で3年暮らし、今は東京在住の英語教師という彼女は流ちょうな日本語で母国のアニメ事情を解説してくれた。

 「米国でも日本のアニメやコミックスはすごい人気です。インターネットやテレビで小さい時から見ていますが、それは若い世代だけじゃない。ピカチュウやゴクウが世界中の人に知られているように、昔から人気があった。私の父は62歳、母は59歳ですけど、VHS(ビデオテープ)で見てきた世代。コスプレも好きですしね」

 米国では“アラ還”世代にまで日本のアニメ文化が浸透しているという。ケイトさんは、ポルトガル出身の留学生・カロリーナさんと同じコスプレでポーズを取ってくれた。

 アニメ『カレイドスター』の主人公「苗木野そら」にふんしたニキさんはオーストリア出身で観光関係の仕事に就く。「日本に住んで3年。ワンピースやナルトなどは欧州でよく知られています」。カナダ出身の人気コスプレイヤー・ヒラリーアンさんは『新世紀エヴァンゲリオン』の「アスカ」になった。

 「クールジャパン」の核を担うアニメだが、既に「日本文化」を超えて「日本発の世界が共有する文化」にまで進化している。現場で、そう実感した。

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