赤字でも奮闘続ける落語茶屋 「若手」のために…オーナーの熱い落語愛

入谷 晴美 入谷 晴美
落語を披露する露の紫
落語を披露する露の紫

 落語と料理が楽しめる落語茶屋「あすか」が今年1月、大阪市住吉区にオープンし、話題を呼んでいる。オーナーの石川武さん(70)が「若手の発表の場が増えたら」との思いから作り上げた。店の中央にある小さな高座が何とも粋。プロの落語家の噺を間近で堪能し、うまい料理とお酒を楽しめる落語茶屋は「関西初です」と石川さん。落語愛を貫き、赤字でも奮闘している。

 阪堺電軌「姫松」駅から徒歩1分。レトロな路面電車を降りると、ほどなく「あすか」の看板が見える。元は串カツ店で17年間空き家だった店舗。「交通の便が良く、家賃が安くて天井が高いことを条件に探しました」と石川さん。前の借主が3億円かけたという内装は、エントランスに囲炉裏があったり、大理石のトイレなどゴージャスな片りんが残る。しかし、古さは否めず電気系統やエアコンを取り付け、落語会用の「高座」を設けるなど約800万円かけて改装した。

 石川さんは元商社マン。わけあって40歳で脱サラ後は飲食店の経営などに携わってきた。5年ほど前から落語にひかれ始め、落語会や寄席をはしごするように。落語の魅力について「たった一人、扇子と手ぬぐいという最小限の小道具で演じるひとり芝居。引き算の美学を感じます。同じ演目でも演者の表現能力によってイメージが変わるところが奥深い」と言う。

 さらに、「テレビでも落語の中継がありCDでもよく聞きましたが、ナマで聞くのが何倍も面白い」と力説する。

 寄席に通ううちに若手~中堅噺家の勢いある落語にはまっていき、「彼らの発表する場が一つでも増えたら」という思いが大きくなっていった。飲食店経営のつながりや経験を活かし「儲からないのは覚悟の上で」落語茶屋を誕生させた。

 「あすか寄席」は現在、毎水・金曜日に開催。昼席は午前11時、夜席は午後7時から。桂佐ん吉(35)がプログラムを構成し出演者の采配も担当している。昼・夜席共に2人が各30分の落語を披露する。

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