飛行機の事故対策で役立つ賢い動物って? 現在は別の方法で実証実験中、犬も活躍

太田 浩子 太田 浩子

 航空機に鳥類が衝突する事故「バードストライク」が発生すると、航空機の機体損傷や欠航、遅延のほか、大事故につながることも。そのため各空港では、さまざまなバードストライク対策をおこなっています。関西国際空港の対策について聞きました。

 国土交通省は「平成21年8月1日から、全ての航空機の機長又は航空機運航者の皆様に対して、鳥衝突等が発生した場合の報告をお願い」していて、集計結果を「バードストライクデータ」として公表しています。2023年(令和5年)の全国空港におけるバードストライク発生件数は、鳥衝突件数1499件、ニアミス件数943件発生しています。また、バードパトロールを導入している空港(21空港)は、離着陸1万回に対する発生件数が3.62件に対して、非導入航空は8.09という結果が出ており、バードストライク対策が有効なことがわかります。

 関西国際空港では、2024年3月から鳥類防除装置「バードソニック」の試験運用をしています。この装置は高周波をランダムに照射して、鳥類の回避行動を促すもの。周波数や照射パターンを変えることで鳥類の音慣れを防ぐとしています。2016年より関西国際空港を運営している「関西エアポート」に話を聞きました。

──ハヤブサにバードストライク対策をしてもらっていたと知って驚きました。いつ頃の話なのですか?

 弊社が運営を開始した2016年からだと、2019年まででの期間で実施していました。

──ハヤブサは、鳥を追い払うように特別に訓練されていたのでしょうか。

 猟友会の鷹匠の方にご協力いただいていたため、対航空機という点では特別な訓練はないものの、一般的な鷹匠による訓練が行われていたものかと思います。

──ハヤブサは滑走路近くに毎日待機していたのですか?

 常に待機していたわけではなく、夏場の日中時間帯で実施していました。現在は、コアジサシ(渡り鳥)対策として猟犬を用いた追い払いを季節限定で継続的に実施しています。

──猟犬は今も活躍中なのですね。実験中のバードソニック以外の対策はありますか?

 バードパトロール、猟銃を用いたスイープ(鳥を追い払うこと)や音での対策をしています。

「バードパトロール」
1日複数回、数時間に1回程度の頻度で空港制限区域内を回る形でパトロールを実施。
猟銃や音(以下参照)、煙火(ロケット花火のようなもの)を用いて追い払いをしている。原則2名で対応。
パイロットから要請があれば、滑走路・誘導路等においてクラクションで追い払いを行うこともある。

「猟銃を用いたスイープや音での対策」
猟銃は空砲を用いて、スイープは鳥が嫌がる音を発出する機器で追い払います。

──いろいろな方法があるのですね。バードソニックを試験導入されたのはなぜですか?

 バードパトロールをしていますが、バードストライクが完全にゼロにならないので、バードソニックの試験導入などのさまざまな対策を講じて取り組んでいます。

──今後はバードパトロールなどと、バードソニックを併用して対策されていくのでしょうか。

 バードパトロール(スイープや音での対応)は継続していきます。バードソニックにおいては、試験運用中ですので、検証を踏まえて今後も導入していくか検討をします。運用上の安全性を確保するために、引き続き日々のバードストライク対策をおこなってまいります。

■関西国際空港 https://www.kansai-airport.or.jp

■関西エアポート https://www.kansai-airports.co.jp

■2023(令和5)年 バードストライク データ(国土交通省) https://www.mlit.go.jp/koku/content/001845176.pdf

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