携帯電話大手3社が、基地局などの通信設備から中国大手のファーウェイとZTEの製品を除外する方針を固めたのを受け、対象となる企業のスマホを使うユーザーたちの間に、不安が広がっている。「自分が使っているスマホは安全なのか」「情報漏えいなどセキュリティのリスクはないのか」…。私たちの暮らしへの影響を、ITジャーナリストの三上洋氏に聞いた。
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今回の通信大手各社の方針は、情報漏えいや安全保障上のリスクを懸念した日本政府の方針を受けての判断だと思う。与党関係者が「ファーウェイの製品を分解したところ、『余計なもの』が見つかった」と話したなどの報道もあり、両社の製品の安全性が懸念されているが、政府から具体的な発表があったわけではなく、本当に問題があるといえるのか確証がない状態だ。米国をはじめ各国が脅威を指摘しているが、この状況を一部の人たちは「イラクの大量破壊兵器疑惑」に似ているのでは、と話している。あるあると騒いで、結果はなかった…という構図もありえるかもしれない。
ただ、基地局など通信ネットワークの心臓部分を中国企業に握られてしまうことへの不安は理解できる。先日起きたソフトバンクの大規模な通信障害では、「交換機ソフトウェアの電子証明書の期限切れ」というほんの小さなミスが原因だった。いざというときにアップデートのミスを装って時限爆弾のようなトラブルを仕掛けることも可能で、ファーウェイ・ZTEが中国政府のコントロール下にある・ないにかかわらず、安全保障上の理由から排除するのは理解できる。