神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて停車させられた夫婦が後続の大型トラックに追突され死亡した事故の裁判員裁判で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた石橋和歩被告(26)に、同罪を適用して懲役18年(求刑懲役23年)の判決が言い渡されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が、この判決について見解を語った。
今回のポイントは、争点だった「危険運転致死傷罪の適用」が裁判官によって認められたことにある。
小川氏は「感情論でいけば、求刑通りに“懲役23年”になっても当たり前です。2人も亡くなっているのだから、もっと厳しくしてもいいと。被害者の遺族の方たちが加害者に対して厳罰を求められるのは、ごもっともだと思います。そのことについて反論のしようはない。ただ、裁判官は感情論で判断するものではなく、一つ一つを法に照らして考えていくと、危険運転致死傷罪の適用は難しいかもしれないと、判決前には思う部分もありました」と明かした。
つまり、2人が亡くなった追突事故の際、石橋被告が運転席から離れていたことが適用の可否を微妙にさせていたのだ。エンジンをかけていつでも発進できる状態であれば、運転席に座っているだけでも走っているとみなされる。これを「0キロ走行」というが、事故当時、同被告は座っていなかった。