お医者さんはいませんか?…緊迫の「ドクターコール」に対する医師の思い

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
6月9日夜、東海道新幹線の車内で人が刺された事件で、遅れを知らせるJR小田原駅の電光掲示板(提供・共同通信社)
6月9日夜、東海道新幹線の車内で人が刺された事件で、遅れを知らせるJR小田原駅の電光掲示板(提供・共同通信社)

 新幹線や飛行機でドクターコールがかかった時に、自信をもって手を挙げれるような医者になりたいと思い、医師を志しました。以前の私の病院のホームページに載せていた文言の一つです。しかし、先日のような凄惨(せいさん)な事件に遭遇した際、私は何ができるのだろうか?新幹線の中で事件は起きた。現場に居合わせた医師の適切な処置で、けがを負わされた人も一命をとりとめたとの話を報道で見ました。

 私は今までドクターコールに遭遇したことはありませんが、よくテレビなどで緊急現場にたまたま居合わせた医師が最良の機転を利かせ、患者さんに関わっている番組が放映されています。自分はここまで機転を利かすことができるのだろうか?と、その医師の動きを感心して見ていました。

 ただ、現実では逆の場合もあり、新幹線や飛行機などの中で救命措置をしたにも関わらず、不幸の転機をたどられる患者さんも少なくないことは想像にたやすいです。医療に関わる道具や患者の情報がほとんどない状況で、的確に診断し、その場でできることを尽くす…。状況は千差万別ですが、手を挙げた医師にとって、そこでの最大限の努力の結果であることだけは、みなさんにわかっていただきたい。

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