「加藤貴子さんはお気の毒でした…」ある医師から見た“ひどい対応”

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
加藤貴子
加藤貴子

 自分でいうのも何なのですが、医師はやりがいのある立派な職業だと思います。しかし、必要以上の尊敬やあこがれを受け、勘違いしてしまっている医師がいることも確かです。現役で行けば24歳から「先生、先生」と患者さんや世間の人から呼ばれます。かつ、同業でお互いに「先生」と呼び合ったりするものだから、さらに“勘違い”してしまいがちです。

 常に謙虚でありなさい。私の人生の師匠である宇城憲治先生のお言葉です。本来、命に直接たずさわる我々医師はこの言葉を心に持ち、仕事しなければならないはずなんです。どんなに研鑽(けんさん)を積んでも完璧な人などいないのですから。

 また、私の好きな言葉に「惻隠(そくいん)の情」というがものあります。数学者であり作家である藤原正彦氏がよく使われる言葉です。簡単に説明すると相手を思いやる気持ちです。この気持ちを持って我々、日本人は生きなければならないと講演で強く訴えられ、私は感動しました。

 総合病院の管理職、また私のような町医者は人から注意、指導を受ける機会が非常に少なくなります。それは医師だけではなく、社会人一般に当てはまるのではないでしょうか。気が付かないうちに、うぬぼれ、ごう慢で自分が満たされないように、謙虚、惻隠の情を大切に日々過ごさなければいけない。加藤さんのお話をうかがって、改めてそう思いました。

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