「加藤貴子さんはお気の毒でした…」ある医師から見た“ひどい対応”

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
加藤貴子
加藤貴子

 先日、ネットで話題になっていた女優の加藤貴子さんのブログを拝見しました。にわかに信じがたい内容でした。加藤さんのお父様が癌(がん)になった時、総合病院の外科医に余命3カ月をめんどくさそうに宣告されたとか。ここまでは、個人の感情や受け取り方の違いもあるかもしれませんが、セカンドオピニオンのための資料を申請すると理由なく却下されたとありました。これは今の医師として、あまりにも残念な対応です。

 そこまでくると、めんどくさそうに余命宣告したのもその通りでは、と思えてしまいます。加藤さんは本当にお気の毒だったと思います。なぜ、このように他人の気持ちや状況が分からない人が医師になるのでしょう…。極論すると医師、患者というのは、強者・弱者の関係にあるので、我々医師はそのことを肝に銘じて日々の診療に携わるべきだと私は思うのです。

 私の娘が大学受験する際、学校の見学、聴講に行ったときに、その医学部の若い方から貴重な言葉を頂いたそうです。「君たちは偏差値が高いというだけで、この学校、学部を目指して入学してもらっては困る。医師という人間になるための高い志を持ち、人間性を磨いて入学してきなさい」という内容です。伝え聞いた私は、襟を正しました。20代前半でもしっかりした信念を持つ若者もいれば、上記の外科医のような人もいる。同じ医師でも悲しいぐらいに違います。

 ただ、残念ながら偏差値重視で医学部を受験するという傾向は昔からあり、私が好きな医師であり作家である南木桂士氏の作品にも偏差値が高いから医学部に行くという内容の記載がありました。

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