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アニサキス治療の第一選択は内視鏡での摘出 醤油、お酢では死滅しません

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 アニサキスが生体鉗子(かんし)で摘出される瞬間…激しく抵抗しています
 アニサキスが生体鉗子(かんし)で摘出される瞬間…激しく抵抗しています

 寄生虫には、様々な物があります。我々の世代で有名なところは蟯虫(ぎょうちゅう)症ではないでしょうか?小学校のときにお尻にセロハンテープ様のフィルムを貼って学校に提出していましたよね。最近、蟯虫検査は行われていないようです。

 我々日本人は魚を生(なま)で食する機会が多く、気をつけなければいけない寄生虫にアニサキスがいます。最近もインターネットで、ある芸能人の胃内に8匹もいたというのを見たことがあります。アニサキスは本来、鯨(くじら)、トド、アザラシ、イルカなどの胃内に寄生しているのですが、その成虫から排出された虫卵が、アジ、サバ、サンマ、イカなどの消化管、筋肉内に寄生します。それらを食した人間に寄生すると、24時間以内に95%以上の人が上腹部痛、悪心、嘔吐などの消化器症状を発症します。

 上記症状はアレルギーが関係していると言われ、時に蕁麻疹(じんましん)、発熱などの全身症状を呈する事があります。診断には、食事に対する問診が非常に重要です。サバ、アジ、イワシ、イカなどを食して発症する急性の上腹部痛に対しては、アニサキスの感染を強く疑わなければなりません。

 問診で、アニサキスの進入を強く疑う事ができれば、緊急の内視鏡を施行します。胃壁に頭から胴体を刺入しているアニサキスを発見できれば、生検鉗子(かんし)を用いて丁寧に胃壁から引き抜きます。その際、アニサキスは最後の抵抗をするように、生検鉗子にグルリと巻き付いてきます。摘出すれば、それまであった耐えきれない上腹部痛は嘘のようになくなります。

 アニサキスは胃内に留まることがほとんどですが、まれに小腸、大腸にも認められ、小腸では腸が詰まったり、穴が開いたりすることがあり注意が必要であると言われています。本当は、釣り上げたばかりの上記のお魚などを冷凍、加熱せずに生で食するのは少々危険を伴うということを自覚しておくべきです。

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