「プラセボ効果」から得る教訓…人の体、実はわからないことだらけなんです

町医者の医療・健康コラム

谷光 利昭 谷光 利昭
 問診表と電子カルテのデータ…医学は進歩を続けていますが、未解明の領域は多いようです
 問診表と電子カルテのデータ…医学は進歩を続けていますが、未解明の領域は多いようです

 何が言いたいか…要するに現代医学、科学でも解決できていない、わからないことは多数存在しているのが明白であるのに、医学者、科学者たちは自分たちが説明できないこと、わからないことは無視をするか、切り捨ててしまうことがあるということです。

 私は現代医学、科学を否定しているのではありません。

 ただ、こう言った事実があるということを認識して頂きたいのです。現代医学では分からないことが、まだ数多く存在するということも認識して頂きたいのです。われわれ医師、一般の人たちは、人の体が現代医学ですべて解明されているように思いがちです。それは全くの間違いであるということを知っておくべきだと思うのです。

 人ゲノム(ヒトゲノム)、簡単にいうと人間の『設計図』がすべて解明されたときに、猛烈な勢いで医療が発展することが予想されましたが、今のところ期待されていたほど大きな変化はみられません。iPS細胞にしても然りです。

 日夜寝食を忘れて研究に没頭している科学者、医師はたくさんおられます。そのおかげで科学、医学は着実に進歩していますが、すべてが解明されているわけではなく、むしろ解明されていないことのほうが多いと考えた方がいいでしょう。ですから、我々医師は、謙虚な態度で治療に臨まなければならないと常日頃から自分に言い聞かせてます。目の前の患者さんに不利益が被ることがないようにするには“固定観念”を持たずに日々勉強していくしかないんです。

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