花粉症で悩んでいる人は、「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」という治療法のことを耳にしたことがあるかもしれません。じつは、舌下免疫療法には「向いている人と向いていない人」がいるそうです。たくさんの花粉症患者が診察に訪れる大阪の太融寺町谷口医院の院長、谷口恭先生に話を聞きました。
■効果があれば人生が変わる舌下免疫療法
-舌下免疫療法とは、どんな治療法なのでしょうか。
「花粉症の人の場合、身体がスギ花粉を“敵”とみなしているので、花粉を鼻や口から吸ったり、眼に付いたりすると、“敵”をやっつけようと免疫系の細胞がいっせいに身体を攻撃し、鼻や眼に炎症が起こります。炎症によって、くしゃみや鼻水、眼のかゆみといった症状が現れるのですが、免疫療法では、炎症が起こらない程度の量の“敵(抗原)”を体内に取り込み、次第に“敵”と認識しなくなるようにする治療法です」
-舌下免疫療法の薬『シダトレンとシダキュア』は、どう違うのでしょうか。
「現在、シダトレンといって液体の薬を舌の下に2分間含んでから飲み込む薬とシダキュアといって、錠剤を舌の下に1分間含んでから飲み込む薬が発売されています。シダキュアのほうが抗原の量が多く、高い効果が期待できるのですが、新しい薬なので2019年の5月か6月までは2週間分しか処方することができません。シダトレンは冷蔵庫で保管しなければなりませんが、長期処方できるので、現時点ではたびたび通院できない人に向いています」
■舌下免疫療法には、向いている人と向いていない人がいる
-治療は何年もかかるのでしょうか。続けられるかどうか心配な人もいると思うのですが。
「舌下免疫療法は、少しずつ身体に免役をつけていくので、治療を開始したら3~5年続けなければ効果を期待できません。途中でやめたら、元の身体に戻ってしまうので(1)規則正しい生活ができる人(2)毎日1回薬を飲むことができる人(3)使いはじめて間もなく起こる口腔内のかゆみなどの副作用について理解できる人、に向いています。逆に、タクシードライバーのように時差勤務の人、夜勤のある人、規則正しい生活ができない人、毎日薬を飲み続けられない人にはおすすめできません」