いざという時のために「かかりつけ医」を探す方法

渡辺 陽 渡辺 陽
「かかりつけ医」について語る谷口恭先生
「かかりつけ医」について語る谷口恭先生

■「理想のかかりつけ医」の見つけ方

 -そうはいっても、なかなか「いい先生」となるとみつからないので、妥協している人が多いように思うのですが。

 「先日も、長年当院を受診していて、東京に引っ越した患者さんから『なかなかかかりつけ医がみつからなくて困っている』というメールが届きました。しかし、当院も必ずしもすべての人の『理想のかかりつけ医』になれるわけではなく、クレームもありますし、特に濃厚な検査を希望する方からは不評です」

 -濃厚な検査や治療とは?

 「例えば、念のためにする採血とか疲れた時の点滴、風邪に抗菌薬といった不必要なものです。我々の仕事は『検査や薬をできるだけ少なくすること』なのです」

 -広く情報を集めるために、ネットやSNSで理想のかかりつけ医を探すといいのでしょうか。

 「一部の人は『医師は余っている』と言いますが、我々の実感としては、まったく足りていません。圧倒的に『供給<<需要』の関係になっています。ですから、(まともな)医療機関は宣伝やPRをしませんし、患者数がすでに飽和していますから、新たな患者を受け入れる余裕がないのです。また、理想のかかりつけ医をすでに持っている人は、これ以上待ち時間が増えると困りますから、家族や友人にはそれを伝えてもネットに書き込んだり、不特定多数にSNSで情報を流したりしません」

 -では、どうしたら「理想のかかりつけ医」に出会えるのでしょうか。

 「それには、次の2つの方法しかありません」

(1)信頼できる友人や家族から情報を得る

(2)近くから(かかりつけ医は近くが理想です)順に受診してみる

 「どれだけ情報化社会になろうが、医療機関は『いい情報を伝えれば待ち時間が長くなり、病院も患者も損をする』という構造がありますから、『理想のかかりつけ医』を見つけるのは困難なのです」

◆谷口恭(たにぐち・やすし)91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院(http://www.stellamate-clinic.org/)

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