派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして、強制性交罪に問われた元俳優・新井浩文被告(本名・朴慶培)の控訴審判決で、東京高裁が17日に懲役5年とした一審東京地裁判決を破棄して懲役4年を言い渡したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、「慰謝料を払って和解しても実刑を受けることがある。性犯罪に対する裁判所の姿勢が厳しくなっている」と解説した。
事件は2018年7月、新井被告が都内の自宅で、マッサージ店から派遣された女性従業員に対して強制性交に及び、暴行した疑い。新井被告は昨年2月に逮捕され、同12月に懲役5年の有罪判決を受けた。新井被告側は控訴。この日の判決で懲役4年とした理由について、一審判決後に新井被告が女性に慰謝料300万円を支払って和解したことなどを考慮したと説明された。
小川氏は「被害者は暴行されたことを直ぐに勤務先の店に報告し、店側も警察に届けを出した。被害者の主張には合理性や一貫性があり、一審前に新井被告から示談の申し出があった時も拒否して罪を問うという姿勢を示した。そうしたことから裁判所は被害者の供述を信用している」とした上で、「今回、実刑5年から1年減刑された判決の背景には、新井被告から謝罪があり、示談が成立したことがある」と説明した。
その上で、小川氏は「一般の方の中には『示談が成立すれば罪はなくなる。被害者から許しをもらえれば懲役に行くことはない』と思われる方もおられますが、示談が成立しても今回のように実刑になることがある。もちろん、執行猶予の可能性も残ってはいたが、新井被告が一審で反省や謝罪ではなく、争う姿勢を見せた点等も影響したのだろう。裁判所が性犯罪に対して厳しい姿勢を見せたと言える」と解説した。