「匠の技」が外国人観光客の心つかむ…インバウンド客に人気の大工道具ミュージアム

山本 明 山本 明

 特に「棟梁に学ぶ」コーナーの、地下2階から1階までを貫く「唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)」の柱とその屋根部分を実物大で再現した模型が人気なのだそう。金物を使用しない木組みの技術の高さに、外国人は日本人の器用さ、精神の細やかさに思いを馳せ、“美は細部に宿る”と魅了されます。この木組みを手に取れるサイズで再現した「継手仕口(つぎてしくち)」の模型を分解して遊べる展示もあり、なかなか難解です。「でも外国の方たちも果敢にチャレンジされていますよ」。

 他には、複雑な数寄屋造りの構造を透視するかのように楽しめる「茶室スケルトン模型」、“紙のように薄い”鉋での削りくずを見て、触って、香りを楽しむ「木を生かす」コーナーも喜ばれるスポットですが、「何といっても人気は木工のワークショップ。特に半時間ほどで完成し、本国へも持ち帰れる『マイ箸』を作るクラスが好評です。初心者のお子さんにも丁寧に指導します」とのこと。さすが宮大工のいるミュージアムです!

 ご自身も英語で、外国人観光客の方たちともお話される西村さんは、「必ずしも旅行サイトなどを通じて訪れる外国人観光客が多いとは思わない」と言います。むしろ、一度訪れた人の口コミやSNSなどを見て、人と人のつながりから興味や関心を持った人々が訪れてきてくれているように感じるとのこと。「当館の収集展示する大工道具や匠の技を通じて、そこに込められた『ものづくりのスピリット』が国や言葉を超えて伝わっていくようで、嬉しいですね」

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