◆贈与税を避ける「共同購入」という方法
どうしても税金の支払いを避けながら「宝くじの当せん金を誰かにあげたい」「当せん金を家族や親戚で分け合いたい」という強い思いがある場合は、事前に宝くじを「共同購入」しておくという方法があります。みんなでお金を出しあって購入したのであれば、出資した金額の割合にしたがって、当せん金を受け取ることができます。宝くじの当せん金は購入者全員で受け取りに行き、「当せん証明書」に全員の名前と受け取り分を記載してもらってください。
◆親から子・孫へのお金の渡し方はいっぱいある
共同購入できていなかったけど、どうしても税金の支払いを避けながら宝くじのお金を分配したい!というときはどうすればよいでしょうか。親から子・孫という関係に限定すれば、「相続」という方法が使えます。
お金を持っている人が亡くなると相続が発生しますが、生前でも相続時精算課税制度という仕組みを使えば、子・孫に相続を前倒ししてお金を渡すことができます。申告は必要ですが、2500万円までは控除されるので贈与税がかかりません。もちろん最終的に相続を受けるとき、事前に贈与されたものと一緒に計算されますが、現在相続税が支払われているのは、死亡者数のわずか8%程度といわれており、この制度を使っても多くの方は税金がかからずに精算できるのではないかと思われます。
また、親から子孫への贈与には特例があり、教育資金の一括贈与(1500万円まで)、結婚・子育て資金の一括贈与(1000万円まで)、そして住宅取得資金の贈与というのもあります。これらをうまく組み合わせていけば、多くのお金を渡すことができそうです。なお、特例が適用できるかどうかは事前に税理士にご確認ください。
◆贈与税の基礎控除枠を使うときは自然体が大切
なお、贈与税には誰にあげる際にも年間110万円の基礎控除枠があります。この枠を活用すれば「長い時間さえかければ、誰にでもお金を渡せる」と思ってしまいがちですが、単純にそういう問題でもありません…。仮に10年間、110万円を渡し続けると総額1100万円になり、それだけの金額を税金を払わずに贈与できると思ってしまいがちですが、税務署に「1100万円を10年間で分割払いした」と受け取られてしまうと、課税の対象になってしまいます。お金の動きをチェックされたときに「計画的な贈与」と判断されるかどうかがポイントになります。といいながら、計画的ではない「自然体の贈与」とはどのようなものなのか、一言で説明するのは難しいのですが…。(佐田哲司・税理士)