家族や身近な人が亡くなったとき、財産を受け継ぐために「相続」が行われますが、その際にお金や不動産など金銭的に価値のあるものはすべて相続税の対象です。できれば相続税を抑えて、大切な人へ少しでも自分の財産を多く残したいものですね。生前のうちに出来る相続税対策について、FPが解説します。
相続とは?
相続とは、亡くなった方の財産を特定の人が受け継ぐことを指し、亡くなった人を「被相続人」、その財産を受け継ぐ人を「相続人」といいます。
相続人となる人は民法で定められており、その範囲は配偶者や子、親、兄弟姉妹などの血族です。
相続順位は、以下のように決められています。
・常に相続人:配偶者
・第一順位:子
・第二順位:親
・第三順位:兄弟・姉妹
上記からも分かる通り配偶者は、必ず相続人です。
子供がいない場合は、第二順位の親が相続人となり、遺産の相続する割合を示す「法定相続分」も相続順位に応じて法律で決められています。
相続税とは?
相続税は、相続する財産が「基礎控除額」を超える場合に、その超えた部分に課税されるものです。
相続税は、被相続人の死亡を知った日から10カ月以内に申告と納税を行う必要があります。
相続税の課税対象となる財産は、現金や預貯金、株式などの有価証券のほか、不動産(戸建て、マンション、不動産上の権利など)、車、骨とう品など金銭的に価値のあるものです。
相続税の各種控除額の算出方法とは?
相続税には、控除と呼ばれる、税金の免除制度があります。
相続税の控除には、基礎控除のほかに、所定の要件を満たす場合に対象になる未成年者控除や障がい者控除などがあります。
それぞれの詳細を、以下で確認しましょう。
▽基礎控除
相続税の基礎控除額を算出する計算式は以下のとおりです。
・基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
つまり、相続財産の総額が基礎控除額の範囲内であれば、相続税は掛かりません。
▽配偶者の税額控除
配偶者は、以下のどちらかの多い金額までは相続税が掛かりません。
・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分
※配偶者の税額控除と小規模宅地等の特例を利用した場合、相続財産が基礎控除以下となっても相続税の申告は必要です。
▽未成年者控除
相続人が18歳未満の未成年者で、日本国内に住所があるなどの条件を満たしていれば、以下の計算式で算出した金額が控除されます。
・未成年者控除額=(18歳―相続した際の年齢)×10万円
▽障がい者控除
85歳未満の障がい者が相続する場合は、条件を満たしていれば以下の金額が控除対象額です。
・一般障がい者 10万円×満85歳までの年数
・特定障がい者 10万円×満85歳までの年数