神戸電鉄は神戸市中心部と神戸市北区、西区、兵庫県三木市、小野市、三田市を結ぶ中小私鉄です。近年、鈴蘭台駅(神戸市北区)と粟生(あお)駅(兵庫県小野市)を結ぶ粟生線の赤字、存廃問題が話題となっています。一方、神戸電鉄は粟生線以外にも、三田線や有馬線などの路線を保有しています。神戸電鉄の鉄道部門はどのような経営状況なのでしょうか。
粟生線は赤字だが、運輸部門は堅調
先に粟生線の赤字額を確認します。9月21日付の神戸新聞の報道によりますと、2025年度の粟生線の経常利益は5億2700万円の赤字でした。2025年1月の運賃改定により、旅客運輸収入は前年度比11%増であり、赤字額も減少しました。しかし、肝心の1日あたりの平均実利用者数は前年度比0.2%増にとどまり、赤字解消にはほど遠いのが現状です。
一方、2025年度、運輸業全体の営業利益は約15億円の黒字でした。運輸業には鉄道以外にバス、タクシーも含まれますが、鉄道事業は運輸業の営業収益の7割を占めます。鉄道の旅客運輸収入は前年度比8.1%増、旅客人員は前年度比1.1%増でした。
このように、粟生線単独では赤字ですが、運輸業全体では黒字です。
いろいろと手は打っている神戸電鉄
「粟生線は赤字だけど、運輸部門は黒字だから安心なのでは」と思ってしまうかもしれません。しかし、沿線人口は2010年をピークに減少しています。また、老朽化する鉄道施設によるメンテナンスのコスト対策も考えなければなりません。
直近では、2024年3月に神戸市営地下鉄北神線(新神戸~谷上)の運行委託業務が終了しました。これは、新神戸~谷上間が2020年6月に神戸市営地下鉄北神線になり、同区間の運行は神戸電鉄が神戸市からの委託という形で行っていました。運行委託業務の終了に伴い、神戸市からの委託料を失いました。このように、運輸部門も将来にわたり、安定した収益が確保できるとは限りません。
また、神戸電鉄の営業収益を見ると、運輸業が6割を占める一方、不動産業は1割もありません。つまり、運輸業、特に鉄道部門の持続可能性を高めることが課題となっています。
近年、神戸電鉄は神戸市とタッグを組み、沿線の魅力アップに力を入れています。その一環として、「神鉄沿線モヨウガエ」を展開し、花山駅・大池駅・有馬温泉駅の再整備が行われました。2026年4月には神戸市が神戸電鉄の株式11万2000株を取得し、第4位の株主になりました。今後、神戸電鉄と神戸市との連携・協力が強まることでしょう。
また、新たな取り組みとして、2024年度より、東京都にある賃貸用不動産を取得。沿線外も含めた不動産の事業展開も行っています。
収益に占める運輸業の比率が高い地域の中核鉄道が、これからどのような道のりを歩むのか。神戸電鉄の動きは興味深いところです。