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4年ぶりに誕生した絶滅危惧種「ツシマヤマネコ」の子ネコ 名前は「なぎ」に決定!飼育・繁殖30年の福岡市動物園 対馬市長から感謝状贈呈

西松 宏 西松 宏

絶滅が危惧されている国の天然記念物・ツシマヤマネコの飼育と繁殖に、30年にわたって取り組んできた福岡市動物園(福岡市中央区)。「ツシマヤマネコの日」にあたる10月8日、長崎県対馬市の比田勝尚喜市長による感謝状贈呈式と、今年(2026年)4月、4年ぶりに誕生した子ネコ(メス)の命名式が同園で行われた。

10月8日は、ツシマヤマネコの別名「とらやま」の語呂にちなんで制定された記念日。同園で4年ぶりに誕生し、生後5カ月を過ぎた子ネコへの注目度は高く、会場には大勢の報道陣が駆けつけた。

贈呈式で、比田勝市長は「対馬にまだ保護施設がなかった1996年、対馬で保護された子ネコを引き取って飼育に取り組んでいただき、2000年には初めて飼育下繁殖に成功されるなど、ツシマヤマネコ保護繁殖事業の初期から生息域外保全の中心的役割を担ってこられました。(略)この30年の歩みの中で培われた知見と技術は、今や全国の保護増殖事業全体を支える大きな財産となっています」と感謝の辞を述べ、吉栁善弘園長に感謝状を手渡した。

続いて、4月に生まれた子ネコの名前が発表された。9月5日〜13日に市民や来園者から募った名前投票では、「なぎ」「みこ」「エミー」の3候補から、投票総数5656票(投票箱4596票、Web1060票)のうち最多の2371票を獲得した「なぎ」に決定。対馬出身の飼育員・斎藤裕樹さんは「30年という節目に子ネコが生まれたことを、非常にうれしく思います。対馬の海をイメージし、ツシマヤマネコの穏やかな未来を願って名づけられました」と話し、誕生から現在までの成長過程をモニターの映像とともに紹介した。Web投票では「元気に育ってね」など、成長を願う655件の声が届いたという。

ツシマヤマネコは長崎県の離島・対馬だけに生息する野生のネコで、現在はわずか100頭前後しか生息していない絶滅危惧種(国の天然記念物・国内希少野生動植物種)だ。1960年代には300頭近くいたといわれるが、年々減少。背景には、森林の荒廃や田んぼの減少、道路工事にともなう生息地の分断、イノシシやシカの急増による環境変化でエサとなる生き物や住処、繁殖相手と出会う機会が奪われていること、交通事故の多発などが挙げられる。

同園では1996年から、全国の動物園に先駆けてツシマヤマネコの保護・繁殖に取り組み、2000年には全国で初めて飼育下での繁殖に成功。これまでに、同園で63頭が誕生した実績がある。

同園では現在、なぎを含め7頭を飼育。「野生では単独で行動し、繁殖は年に1度。非常に警戒心が強く繊細なため、落ち着いて子育てに専念できる環境が欠かせません」と斎藤さん。来園者の気配や物音などがストレスとならないよう、繁殖個体は専用施設で飼育されている。そのため、現在一般公開されているのは11頭を出産した「妃(ひめ)」1頭のみで、なぎを含む他の6頭はすべて非公開となっている。

 

なぎは今年4月25日、父親「ジミー」と母親「チョコ」の間に生まれた。「11日目に目が開き、24日目ころにはガリガリと板を噛んで歯が生えたことを確認。生後1カ月で巣箱から出て行動範囲を広げ、3カ月たつと肉を食べ、親離れしました。生まれたときはわずか約100グラムだった体重も、1カ月で約500グラムずつ増え、現在は2.7キロまで成長しました。好奇心旺盛で、よく食べよく遊び、元気に育っています」と、斎藤さんはほほ笑む。

なぎの成長の様子は、同園のHPやSNSを通じて見守ることができる。斎藤さんは「対馬出身の私にとって、ツシマヤマネコを守ることは自分の故郷を守ることでもあります。なぎをきっかけに、ツシマヤマネコが置かれている現状や自然環境について関心を持っていただけたらうれしいです」と話した。

▽福岡市動物園ホームページ
https://zoo.city.fukuoka.lg.jp/zoo

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