スーパーワンは軽特有の自主規制から解放されたパワートレイン
軽自動車には、パワートレインの最高出力を64psとする自主規制が長年続いている。そのため、軽BEVであるN-ONE e:は、潜在能力が高いにもかかわらず、あえて最高出力を64psに抑えている。
しかし、スーパーワンは普通車扱いだ。そのため、自主規制の制約を受けない。最高出力は64psから一気に31psアップし、ブーストモード時には95psを発揮する。
31psの出力アップにより、スーパーワンはN-ONE e:と比べて、高速域でもより伸びのある加速が可能となった。低速から高速域までスムースで豪快な加速は、まさにBEVならではだ。とても気持ちがよい。
また、ブーストモードを使用していないときは、とてもスムースで扱いやすい。BEVは、発進時から強大なトルクを発揮できるのが特徴だ。そのため、一部のBEVでは、BEVらしさを強調するために、瞬時にトルクを立ち上げて力強さをアピールするモーター制御を採用している。こうした制御も、確かに楽しい。
しかし、スーパーワンはあえてこうした制御を採用せず、通常走行時には穏やかに加速する設定としている。ガソリン車から違和感なく乗り換えやすいというメリットもある。
また、ラフなアクセルワークでは、ギクシャクして運転しにくいと感じることもある。同乗者も前後に大きく揺さぶられるため、不快に感じる可能性がある。こうした点を考えると、穏やかな制御を選択したのは正解だ。
もちろん、アクセルをグッと踏み込めば、強大なトルクが一気に立ち上がり、豪快な加速を楽しめる。通常時の扱いやすさと、BEVらしい力強さを両立している。
アクティブサウンドコントロールの是非を問う
ブーストモードを使用すると、車内にはブーンという疑似エンジン音が響く。さらに、トランスミッションを持たないBEVでありながら、減速時には疑似ブリッピング音も鳴る。
このサウンドは、標準装備されているボーズサウンドシステムから再生されるため、なかなか質が高い。アクティブサウンドコントロールは、運転していて楽しい演出として評価できる。
ただ、個人的には、このようなアクティブサウンドシステムが本当に必要なのか、疑問に感じる。そもそもBEVはエンジンを搭載していないため、高い静粛性が魅力のひとつだ。それなのに、なぜあえて音を出す必要があるのだろうか。
「運転している感覚」が欲しいという意図も、理解できないわけではない。しかし、それは長年ガソリン車に乗ることで身に付いた感覚でもある。ガソリン車とはまったく異なるパワートレインを持つスーパーワンに、なぜあえてガソリン車の感覚を再現する必要があるのだろうか。スーパーワンはBEVであり、ガソリン車ではないのだ。
しかも、スーパーワンは高Gがかかるような優れた旋回性能を楽しめる。疑似エンジン音がなくても、走る楽しさを十分に感じられるクルマだからこそ、なおさらそう感じる。
BEVのレースであるフォーミュラEのマシンが、F1の疑似音を出して走っていたら、フォーミュラEとしてのアイデンティティを失ってしまう。それと同じようなものではないだろうか。