岡山県倉敷市にある「瑜伽山蓮台寺(ゆがさんれんだいじ)」は733年に創建され、鎮守瑜伽大権現(本地仏は阿弥陀如来、薬師如来)と本尊十一面観音の三尊をお祀りしている。権現様のお前立ちとして、木造座像の不動明王では日本最大級の厄除け大不動明王があることで有名だ。そのお不動さまにちなみ、「厄除け猫」と呼ばれ、職員や参拝者から親しまれているのが寺猫の「ふーちゃん」(オス、推定13歳)だ。参拝者らの人気者となったふーちゃん。いまでは1200年以上の歴史を持つ同寺の信仰と人々をつなぐ、架け橋的な存在となっている。貫主・佐伯増寿(ぞうじゅ)さんに、ふーちゃんとの出会いや参拝者との交流などについて話を聞いた。
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佐伯さん(以下同) ふーちゃんが寺に現れたのは2016年9月でした。本堂の前にある桜の木の下にどこからかふらっとやってきたんです。
獣医さんいわく、当時推定2、3歳くらい。ガリガリに痩せていて、首輪をし、去勢済みだったため、当初は飼い主さんを探したのですが、首輪には何も書いておらず、わかりませんでした。推測ですが、元々どこかでかわいがられていて、何らかの事情で飼えなくなったのかもしれません。当時から猫好きの職員さんばかりだったこともあり、お寺の猫として、みんなで世話しようということになりました。
名前は「お不動さん」の「ふ」をいただきました。若いころは木の上に登って遊んだり、ネズミや鳥を自慢げによく捕まえてきたりしていました。朝のお勤めのときは、私がお経をあげているところにやってきて、じっと聞いていることもよくありました。
寺の広報誌やSNSなどにふーちゃんのことを載せて発信すると、次第に認知度があがり、「ふーちゃんに会いたい」とやってくる方が増えました。たくさんのファンができ、納経帳やお守り、御朱印、お菓子など、ふーちゃんにちなんだグッズなども作りました。中にはふーちゃんを題材に色鉛筆画を描いたり、写真コンテストで入賞されたりという方もおられました。
ふーちゃんに会いに来たのがきっかけで、人間関係や家族の悩みなどを相談されて帰られる方もおられます。どんな経緯であれ、お寺に足を運んでいただくことは、私たちにとってうれしいこと。ふーちゃんは、人々と信仰を結ぶ、架け橋的な存在になっているといってもいいかもしれません。
ふーちゃんは、たたずまいに風格や品があるんですよね。かわいいというよりも、どこか修行僧のような厳しさがあり、凛とした顔立ちをしているでしょう。寺の敷地内を巡回してパトロールするのも日課です。ここから先は入ってはいけないというと絶対に入りませんし、自分がこの寺を守るんだと思っているかのように感じるときもあります。
ふーちゃんがいると、職場の雰囲気も和やかですし、私も心の持ち方が全然違います。たとえばちょっと心乱れることがあっても、ふーちゃんを見ると穏やかになれます。
周りの人たちを癒し、笑顔にするふーちゃんと接していると、私自身、この法灯(ほうとう)をしっかりと受け継いで、後世につないでいかなければいけないと、改めて気が引き締まります。最近は猛暑のため、寺務所内で寝ていることが多く、歩き方をみても歳をとってきたなと感じますが、ふーちゃんはお寺にとって大切な存在。これからも長生きしてほしいです。
【施設名】真言宗御室派 別格本山「瑜伽山蓮台寺」
【住所】岡山県倉敷市児島由加2855
【ホームページ】https://yugasan.jp/