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ウクライナ漫画で平和学習 岡山市の蛍明小学校 共通する資料疎開の歴史、戦争をより身近に…

山陽新聞社 山陽新聞社

 岡山市立蛍明小(同市北区大井)が平和学習に国内で唯一、ロシアの侵攻を受けるウクライナの南部オデーサ市の博物館による資料疎開を描いた漫画を活用している。第2次大戦で大原美術館(倉敷市中央)の名画が学区内に疎開した共通の歴史から、児童に頻発する戦争をより身近に考えてもらう狙い。漫画は同小の実践例を添え、第20回日本国際漫画賞に応募している。

 漫画は「オデーサ 戦争の博物館日記」。12~20世紀のユーラシア諸国の美術品1万点超を収蔵するブレシュノフ・オデーサ市立個人コレクション博物館の主席学芸員らが「痛ましい真実を優しく発信し、世界に文化遺産と人間の尊厳を守る連帯を広げたい」と昨秋、出版した。

 博物館の看板猫「マリセル」と「パンナ・コタ」を主役に、資料の運び出しや従軍と他国避難による家族らとの別れ、物資不足の暮らしを温かく伝えている。A4判、180ページ。

 オデーサ市とともに、国連教育科学文化機関(ユネスコ)創造都市ネットワーク文学分野に加盟する岡山市が出版前に提供を受け、昨年3月、英語版の一部を市ホームページに掲載。蛍明小の地域学校協働活動推進員の農業、三田善雄さん(51)=同市北区大井=が見つけ「共通の歴史がある地域として、将来の平和や持続可能な社会づくりを考えてほしい」と、盆休みに人工知能(AI)で和訳した。

 三田さんは5年前から、同小の平和学習に協力。岡山空襲(1945年6月29日)を目撃した明楽千恵子さん(93)=同上高田=の語り、農家の蔵に、大原美術館の名画が疎開した歴史教育や同館での対話型鑑賞、社会課題の解決に尽力した実業家の大原孫三郎を知る授業を関係者と設定し、子どもたちが「児童新聞」に学びを表現している。

 2025年9月、一連の授業に漫画を加え、当時の6年生22人が読んで意見交換。ユネスコ・オデーサ事務所から「日本の友人が国民のため祈ってくれている」と喜びの声が届くと、児童の姿勢は一層変化し「学びが戦禍の人たちを勇気づけ驚いた。戦争は人ごとでない」「友人のために泣ける人になりたい」と新聞に記した。

 2026年7月1日、現6年生18人は岡山空襲の体験談と名画疎開の授業を受けた。三田さんは9月に教材となる漫画を紹介し、宮本稜太さん(11)は「戦争はいけない。漫画を学ぶのが楽しみ」と話した。

 日本国際漫画賞は2007年、文化外交の一環で海外の作家を顕彰しようと外務省が創設。オデーサ事務所などは「心に訴える日本漫画のDNAを持つ作品を広めたい」と応募した。

 岡山大学術研究院教育学域の平田仁胤(よしつぐ)教授は「悲惨で愚かなはずの戦争がなぜ続くのかといった疑問に気付かせ、地域への関心を日本、世界に広げ理解を深める取り組み」と評価する。

 大原美術館の名画疎開 武内潔真(きよみ)初代館長や美術館の日誌などによると、岡山空襲(1945年6月29日)直後の30日と7月3日、倉敷紡績(現クラボウ)のトラックで名画約70点を日近村(現岡山市北区)の農家の蔵に搬入。重要作品で、エル・グレコの「受胎告知」やモネの「睡蓮(すいれん)」などだったとされる。1946年7月19、20日にかけ美術館に戻り、8月に展示復帰した。

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