「された側にも原因があったんじゃないか」
社員から「パワハラを受けました」と相談されたとき、場合によってはつい言いたくなってしまうこのセリフ。
「でも、これを言ってしまうと、逆にハラスメントになってしまうんです」
そう話すのは、ハラスメント訴訟に詳しいA-Link法律事務所(大阪)の弁護士・浦川知裕さん。
企業向けに開いているハラスメント対策セミナーで、「パワハラ対応の落とし穴」として、このセリフを紹介しているといいます。
「怒鳴る」「罵声を浴びせる」といった行為が、パワハラの分かりやすい例。
しかし実際には、仕事上の指導やアドバイスのつもりで発した一言が、思わぬトラブルにつながることがあるそうです。
「周りから悪口を言われているという部下の訴えに対し、『それは君の被害妄想。治療が必要なレベル』と言ってしまったことが『踏み込みすぎ』とみなされ、ハラスメントと認定された判例が過去にはあります」
ほかにも、その人の能力とかけ離れた低いレベルの仕事を与えたり、または仕事を十分に与えなかったりすることも、ハラスメントとみなされる可能性が大きいといいます。
「もし訴訟になり、裁判所にハラスメントと認定されたら、多額の損害賠償金を支払うことになりかねません」と浦川さん。
でも、本当に恐ろしいのは、お金では到底解決できない損失が出てしまうことだとか。
「例えば、会社の信用低下です。ハラスメントが起きた会社だという悪評がついてしまうと、業績や採用に大きな影響を及ぼしてしまいます」
そんな評判が広まってしまえば、長期にわたって会社にダメージを与えそうです。
「そんなことにならないために、日ごろから部下や社員の方々とよくコミュニケーションをとっておくことが大切です。風通しの良い職場環境をつくっておくことが、ハラスメント予防の何よりの対策です」(浦川さん)