ホームセンターの半額コーナーで、カサカサに乾ききった多肉植物。植えられてもおらず、鉢の土の上にただコローンと載っているだけでした。
そんな「ミイラ」のような株が、5カ月後にはみずみずしい緑色へ。その変化の写真はXで292万回以上表示され、話題を集めています。
「みんなも、ホームセンターとかでカピカピの草を買って、復活させる遊びやろう」
そう投稿したのは、植物の観察に夢中だという20代の「Momoyama Mogyuhei」さん(@M_MOGYUHEI)。本格的に植物が増え始めたのは2024年末ごろだといいます。Momoyama Mogyuheiさんに話を聞きました。
鉢を手に取ると、カサカサコローン…
Momoyama Mogyuheiさんが出会ったのは「ハオルチア」という多肉植物。品種のタグが失われた「札落ち」の状態で、798円の半額だったといいます。2025年10月ごろのことです。
「屋外の半額コーナーで、茶色く枯れかけの草に紛れて置いてありました。誰かが落として戻したのでしょうか」
それに気づかずに鉢を手に取ったため、株が「カサカサコローン」と転げ落ちてしまい、Momoyama Mogyuheiさんは「わ!やってしまった?!」と焦ったといいます。
「ミイラみたいに、とてもきれいに水分を失っている感じでした。根っこも、元々は立派だったことが分かる姿でした。半額コーナーで終わりを待っているこの株は、誰かに選んでもらえるだろうか。弱ったり傷んだりして見た目が良くないと、誰も目を留めず、雑に扱われてしまう。ここだけの話、当時の自分自身の姿と重なりました」
「自分だけは、その不遇な運命に逆らって、この子をめちゃくちゃ大切にしてやるぞ」
そう心に決めて、ハオルチアを自宅に連れて帰りました。
まず水を吸う「通り道」を確保→ミイラからの脱出へ!
最初に行ったのは、植物用の活力剤を薄めた水に浸して、水分を吸わせることです。
「根っこが結構残っていたので、水を吸う力はありそうでした。水を吸いやすくさせることと、中心の部分が腐っていないかの確認を兼ねて、株のお尻(底の部分)をカットして、水の通り道となる維管束を露出させました。幸い、内側の腐りはありませんでした」
薄めた水につけて2週間ほど経つと、しわしわだった葉っぱが少し膨らみ、白い根っこがちょこちょこと生えてきました。ただし、これは水だけで育てる「水耕」に適した根で、そのまま土に植えるとほとんど消えてしまうといいます。
「でも、この段階ではとにかく体力をつけることと、植物自身が『根っこを出すモード』になってくれたことが大切なんです」
土選びでの失敗を乗り越えて
土に植え替える段階では、一度失敗もありました。最初に選んだのは、水はけが良く水分も適度に保てる「赤玉土(あかだまつち)」。しかし、水耕から引き上げたばかりのやわらかい根っこには負担だったようです。
そこで鉢から出し、清潔な土の上に置いて霧吹きをしたカップを被せ、湿度を保ちました。少しずつ通常の湿度に慣らし、根が伸びる様子を確認してから、再び植え替えます。
「今度は根っこへのあたりがやさしい、パーライトという空気をたっぷり含んだ非常に軽い人工用土を使いました」
現在は赤玉土に戻して元気に育っています。約5カ月間、乾燥と日差しで赤茶っぽくなっていた「ストレスカラー」はすっかり落ち着き、徐々に鮮やかな緑色へ。へこんでいた葉っぱは完全には戻りませんでしたが、ゆっくりと膨らんでいきました。
「枯らしちゃう」のは、相性の良い植物にまだ出会えていないだけ
投稿には「うちの枯れそうなコキアにアドバイス欲しい……すごいです」「どうしたらこんなに再生できるのですか???多肉植物でも枯れちゃう自信ある」といった反響が寄せられました。
「草と人には、絶対に相性があります。自分のライフスタイルや性格に気が合う草に、まだ出会えていないだけですから、『自分には育てられない』と思わないでほしいです」
店頭でよく見る「簡単に育てられる!」というポップ(案内札)については、こう語ります。
「あれは『誰にでも合う眼鏡』くらい無理がある誇張表現だと思っています(笑)。まずは鉢から出して土を外して、根っこの状態をよく観察すること。水が乾くスピードや根がどの程度あるのか、どこにダメージがあったのかを把握できれば、水やりのペースや光量、気温、湿度のコントロールがぐっと楽になります」
枯れそうな株にも必ず理由があり、原因を分解して一つずつ潰していくと株の様子が変化する。そう話すMomoyama Mogyuheiさんは、観察の面白さをこう表現します。
「お出かけ先で見かける観葉植物の見え方も変わりますし、ただの街の景色が何倍も面白くなりますよ。行く先々におしゃべりな友人がいるような感じで、本当に楽しいです!」