SNSなどで他人とやり取りすると、意見が対立して口論や喧嘩となることもあるでしょう。ヒロ・コトブキさんの作品『向かってま。』は、そんなSNSでの口論が発端となった主人公の行動が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約1.2万いいねの注目を集めました。
SNSに嫌なコメントが届いた主人公は、思わず「育ち疑うわw親の顔見てぇw」と返答します。すると相手から「言ったからには絶対行けよな!」と親の自宅住所がダイレクトメッセージで送られてきたため、主人公は実際に行くことにしました。
言われた住所に行くと、そこは新潟県の小さな漁村でした。昔ながらの一軒家には、使い古された軍手が干されており、カップ麺の容器には錆びた釘が保管されています。横のサンダルとともに水を湿らせた植物や、玄関の扉にはかすれた字で「火は止めたか?」と書かれた趣のある自宅でした。
生活の一部分を覗いた主人公は、親の顔を見ずにその場を立ち去ることにします。その後口論となった相手は、主人公が本当に実家に行ったのかと不安になったようで「畑に行ってる時間は勘弁してやってほしい」と連絡が届きました。
主人公は「行くかたわけ!これはワイ(自分)と貴様の闘いだ」と送ると、相手は「新潟まで行く根性ねーか笑」といつもの調子に戻り、主人公は思わずクスッと笑うのでした。
読者からは「風景描写が素敵」「こういう人間関係も良い」などの声が寄せられています。そこで、作者のヒロ・コトブキさんに話を聞きました。
作者の地元や周囲の家々をイメージして描いた
―同作を描いたきっかけについて教えてください
僕のメモ帳には1ページ漫画のアイデアがたくさん描かれています。そのなかから「これはいいぞ」と思ったものから順に作者(ヒロコトブキ)の手でつまみ上げられ、漫画に起こされていきます。
そのメモ帳には『1ページ漫画にするには弱い』アイデアたちがさびしそうに座っていて、僕は時々それを見つめ直しては、別のオチの可能性を考えたり、複数ページの漫画になる可能性を考えます。この『向かってま。』もベンチで拗ねているアイデアのひとつでした。『レスバする相手の家にまで押しかける話』というトンデモ話に細かな詳細を足していくと、素敵で不思議な物語ができました。
―田舎の実家らしい描写が印象的でしたが、どのようにご想像して描かれたのでしょうか?
まさに(なんとなくの)僕の地元や、そこにある(なんとなくの)家々をイメージして描きました。多感な時期に見た『あるある』や『エモーショナル』な空気感は時間が経ってもありありと僕のなかに残ってくれていました。
―作品のなかで、お気に入りのシーンなどはありますか?
相手の街や家の様々に宿る『愛』や『人生』や『環境』に、ゆっくり静かに気付いていく主人公。そしてリプの相手に対して許しや親近感がわいて、大らかになっていく様が好きです。
<ヒロ・コトブキさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/kotobuki_hiroju