複雑に入り組んだ大阪・梅田の地下街で、目的地を探して立ち往生していたときに起きた見ず知らずの人とのやりとりが、Xで注目を集めています。一時帰国中に西梅田駅を利用し、特定の出口が見つからずに困っていた投稿主。そこへ通りすがりの女性が親切に声をかけてくれたものの、探し求めている出口番号を伝えた途端、「その出口は分からない」と即座に謝って立ち去ってしまいました。困っている人には声をかけるが、自分に分からないと知るや否やスパッと身を引く。その歯切れのよさと独特のキレのある優しさを「大阪らしい」と感じたエピソード漫画に対し、多くの共感の声が寄せられています。
投稿したのは、バリ島在住の日本人漫画家、アマットル・キナさん(@ama_kina)。久しぶりに大阪の電車を利用した際、梅田の地下迷宮とも呼ばれるエリアの難解さに直面した体験を描きました。
大きなスーツケースを抱えて西梅田駅に到着したアマットルさんは、目的地である「5番出口」を目指していました。しかし、頭上の案内板を確認すると「6a」「6b」「出口1〜4」といった表示はあるものの、なぜか5番の数字だけが見当たりません。スマートフォンを手に地下街の真ん中で途方に暮れていたそのとき、すれ違いざまの女性が足を止め、「駅わかります?どちらへ?」と、自発的に声をかけてくれました。
デジタル社会において、見ず知らずの他人が困っている姿を見て、わざわざ話しかけてくれたことに、アマットルさんは深く感激したといいます。
しかし、アマットルさんがお礼を伝えながら「5番出口を探していまして」と切り出すと、女性の反応は一変。「あ、その出口はわからんわ、ごめん」と笑顔で言い残すと、女性はすぐに踵(きびす)を返し、人混みの中へと去っていきました。通勤ラッシュの時間帯で自身も急いでいたにもかかわらず、困っている人を素通りしない優しさは本物であり、同時に、対応できないと分かった瞬間に迷わず身を引く瞬発力のキレに、アマットルさんは驚きつつも感銘を受けたといいます。
「たとえ目的が解決しなくても、その純粋な気遣いに触れただけで、女性が去った後もしばらく心がホカホカとした余韻で満たされていました」
投稿されたコメント欄には、「梅田の地下は複雑すぎて、駅員や地元の人でも他社の管轄だと分からないことがある」「一度地上に出たほうが早い」といった、同じように梅田の地下街で迷った経験を持つ人々からの共感や、具体的なアドバイスが集まりました。また、道案内そのものは成立しなくても、「声をかける精神が素晴らしい」「その潔さが心地いい」といった、やりとりそのものに含まれる温かさを評価する声も多く寄せられています。
この反響を受けてアマットルさんは、「改めて、なんて温かい街なんだろうと感じました。大都会ですが、大阪には今も変わらず『人情』が根付いていることを、身に染みて実感しました」と振り返っています。