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情シス担当者の8割超「触りたくないシステムがある」 古すぎるシステムによる「心理的・実務的な疲弊」って?

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる中、その最大の足枷となっているのが「レガシーシステム(老朽化した古いシステム)」です。経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」の真っただ中にある現在、システムの保守・運用を担う現場はどのような状況に置かれているのでしょうか。

株式会社NTTデータビジネスブレインズ(東京都港区)が実施した調査によると、「可能な限り触りたくないシステムがある」とした情シス担当者が8割超に達することがわかりました。

調査は、全国の情シス実務担当者221人を対象として、2026年4月にインターネットで実施されました。

調査の結果、自身が担当、あるいは関与しているシステムの中に、「可能な限り触りたくない/改修要望が来ると憂鬱になると感じるものがある」とした人は84.7%に達し、多くの情シス担当者が特定のシステムに対して強いアレルギーや恐怖心を抱いていることがわかりました。

この背景にあるのは、長年のツギハギ改修によって構造が複雑化した「スパゲッティコード」です。「一部を修正すると、全く関係のない思わぬ機能でバグが発生する」という、影響範囲の読めない構造的欠陥が、担当者の心理的疲弊を著しく加速させているといいます。

また、主要なシステムにおいて、設計書などのドキュメントと実際のプログラム(実態)が「ほぼ完全に乖離している」(43.9%)または「存在しない」(5.6%)と、半数近くの企業で保守・運用において致命的な状態に陥っており、「部分的に一致していない」(29.1%)まで含めると、8割近くの企業で設計書が信用できない状態にあることが明らかとなりました。

「可能な限り触りたくないシステムがある」という心理の最大の要因がここにあります。設計書が信用できないため、改修のたびに担当者はソースコードを一行ずつ解読する「リバースエンジニアリング」のような作業を強いられ、この果てしない作業が、改修への憂鬱を生む元凶となっています。

続けて、「特定のベテラン担当者が明日急に退職した場合のシステムへの影響」を聞いたところ、「一部のサブシステムやツールが回らなくなる恐れがある」(59.8%)に加え、「基幹システムを含む複数の重要システムが停止する恐れがある」(15.6%)という深刻な回答も寄せられました。

特にレガシーシステムは古い言語や独自のフレームワークで作られていることも多く、若手への引き継ぎが困難なことから、ベテランの定年退職や予期せぬ離職が、そのまま「会社のIT停止」に直結するという爆弾を抱えた企業がいかに多いかということがわかります。

また、75.5%が「既存システムの保守・運用業務は、ITエンジニアとしての市場価値が下がると感じる」と回答。

AIやモダンなクラウド技術が進化する中、日々の業務が「古いレガシーのお守り」や「他人の謎コード解読」ばかりではスキルが陳腐化してしまうという強い焦りが、モチベーション低下や優秀な若手の早期離職を誘発しています。

さらに、「クラウド(SaaS等)導入に伴い、旧システムとのデータ連携のための手作業(CSVの手動加工など)が増えた」とした人は74.5%にのぼり、事業部門がいくら便利なSaaSを導入しても、社内のオンプレミス(自社運用)のレガシーシステムに連携機能(API)がなければシステム間を繋ぐことができず、結果として、「SaaSからCSVを抽出し、情シスが手動でExcel加工して、古い基幹システムにインポートする」という、デジタルとアナログが混在した無駄なハイブリッド作業が発生し、現場のリソースを圧迫する実情が明らかになりました。

次に、「システム障害時に復旧を最も長引かせている要因」を聞いたところ、「バックアップや復旧などの仕組みが不十分」(52.4%)、「属人化・ブラックボックス化により原因特定に時間がかかる」(18.4%)、「ベンダー等の連絡や連携体制が整っていない」(14.6%)が上位に挙がりました。

仕組みが不十分な中、ドキュメントも十分ではないため、障害が起きると「誰かが手動でデータを直し、コードのバグを徹夜で探す」という泥臭い対応を余儀なくされ、これが復旧の長期化を招いています。

また、システムの保守や障害対応による「休日出勤や深夜作業」が「月に1回以上」発生している割合は67.9%にのぼり、情シス実務担当者の肉体的・精神的な疲弊を極限まで高めており、早急な労働環境の改善が求められます。

最後に「自社のレガシーシステム対策(2025年の崖対策)の進捗」を聞いたところ、「現場の努力でなんとか運用を回している」(41.7%)、「対策が進まず現場は限界に近い」(7.8%)といった回答が挙がった一方、「ほぼ対策はできている」はわずか7.5%に留まりました。

   ◇  ◇

調査を実施した同社は、「レガシーシステムの問題は、単なる『古いIT資産(技術的負債)』という枠を超え、現場担当者の心身を限界まで磨り減らす組織的なリスクであることが明白になった」と指摘。

そのうえで、「解決のためには、現場への丸投げを即刻止め、ITインフラの刷新をコストではなく、事業継続のための『最重要投資』として経営層が再定義することが急務。思い切って捨てるべきシステムは捨て、モダンなクラウド環境へと移行し、エンジニアが『守り』ではなく『攻めのDX』に時間を使える環境を整えることこそが、いま最も求められている」と述べています。

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